Scribble at 2024-09-13 17:28:02 Last modified: 2024-09-17 12:52:49

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人事が面談すれば一発で見分けられる…必要最低限しか働かないと心に決めた「静かな退職」者の口癖と社内生態

まず、僕が企業の部長として言いたいのは、こういう統計調査は錯覚であるということだ。

統計データを使う場合の基本として、経時的な観点で扱うべきデータを単独で扱わないという原則がある。この記事で初めて登場する「静かな退職」とやらに相当する人の割合が3割ていどだとして、それは果たして記事としてわざわざ書いて論じるていどに特別なことなのだろうか。仮に同じ概念が昭和50年(1975年)に当てはめられたとして、その当時に同じ統計調査を行ったら、さて結果はどうだったのだろう。ああ、それと "quiet" を「静かな」と愚かな翻訳をしているのは著者であって、それなりの英語力がある僕ではない。翻訳ができるていどの能力があれば、これは「潜在的」とか「実質的な」とか「隠れた」などと訳すのであって、ここでの文脈が分かっていながら "quiet" を「静かな」なんて訳すのは中学レベルだ。そもそも、日本語のコロケーションとして考えても、退職が静かだとか騒がしいとか、そんなことを言うために "quiet" と言ってるわけでないのは明らかだ。(更に言えば、こういう状況を「退職」だの "quiet" だのと表現している、もともとの英語がおかしいという批評もできなくてはいけない。アメリカ人だからといって英語を正しく使っているとは限らないのだ。)

僕が思うに、口先だけはモーレツ社員であっても、今も昔もサラリーマンなんてまともに働くやつはそういないはずだ。昭和時代の典型的な営業マン(しかも営業代理店の雑兵社員)なんて、朝の9時に出社してタイムカードを打刻したら、そのまま喫茶店で1時間を過ごしてから10時に開店するパチンコ屋へ向かうのが日課だなんてのが、本当に大企業や上場企業にはたくさんいて、そういう連中は得意先を回るだけの巡回営業でノルマを達成できる御用聞きだったから、彼らの仕事は日中の営業活動ではなく、取引先の部長が飲み屋やキャバレーに行く時刻からの接待が実質的な仕事なのだ。昭和時代の日本企業というのは、大半がこういうゴロツキみたいなのがたくさんいて、豊島区や杉並区あたりに一戸建てを買えるような給料を平気でもらっていた時代だったのだ。

そういう人々に比べて、いまの若者は仕事について必要最低限でいいというスタンスを隠そうとしない。でも、そういう若者が昔と比べて「多い」かどうか、あるいは「増えている」かどうかは自明ではないのだ。

ただ、こういう統計で現れる最近の若者の態度に、やはり僕も怪しいものを感じるのは確かだ。たとえば、「自分を成長させたい」などと口先では言うし、仕事の合間や仕事の後に資格試験の勉強をしたり、あるいは異業種の人材が集まるセミナーなどにでたりする人は多いようだ。でも、自分が配属されている部署での実務で自分を成長させるという思考は弱い。それゆえ、テヘペロで舐めたことをしていても平気だし、上司は簡単には怒らない(だって、「パワハラ」だと僕ちゃんが言えば、上場企業の部長であろうと一発で黙るんだから)。会社はお金をもらいにいく場所であり、「本当の自分」はゲームの世界で最強と言われる俺様や、TikTok でオナニー動画を観せて大金を稼いでいるときのアタシだ、というわけである。

正直なところ、僕はこの手の「若手にどう接するか」なんていう話をビジネス関連の雑誌やサイトで何度も取り上げるのは、アホらしいと思うんだよね。もちろん、舐めたガキなんてぶん殴ったらいいとか、そんなことを言いたいわけではない。でも、大人というのは心理的・法的・社会学的に色々な「ぶん殴り方」を知っているわけであって、こんな記事でどうこう悩んでみせることはないのである。ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』というビジネス書で知られた比喩を使うなら、「バスに一緒に乗ってもらいたいくない」人材をきちんとバスから降りさせることもまた、マネージャーや経営者の仕事である。どう接すれば人が変わるかなんてことを悩むことこそ昭和的な無能の人事が悩んでいたタスクであり、21世紀にもなれば、人なんて本人が納得して変わろうとしないかぎり、他人が変えるなんて無理だと知ることから初めなくてはいけない。変わろうとしない人間は、変えようとするのではなく、さっさとバスから降りてもらうのがただしい。もちろん、法的に解雇権の濫用はできないが、濫用でないことを立証するためにも、ふだんから従業員の成果は正確に記録したり評価しなくてはならない。また、こちらがそもそも過大な期待や予想を立てすぎていないかどうかも反省するべきだろう。「24時間、戦えますか」みたいな、キチガイ企業理念のようなものを掲げておきながら、他人がついてこないからといって、最近の若者はどうとか、「社員は家族だ」とか、迷惑なことを言い出す経営者にもバスから降りてもらうのが本当は望ましい。

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