Scribble at 2025-12-19 07:52:55 Last modified: 2025-12-19 07:57:08
2024年にイギリスのサウサンプトン大学の研究からスピンアウトして設立されたスタートアップ・SPhotonixが、溶融石英ガラスを用いた「5次元メモリクリスタル」技術をデータセンターに投入する準備を進めています。この5次元メモリクリスタルは、5インチ(約12.7cm)のガラスディスク1枚に最大360TBのデータを保存可能で、その寿命は138億年に達すると見積もられており、190℃の高温環境下でもデータが保持されます。
つい先日、ここで光ディスクのメディアにデータを記録するという活動はオワコンであると書いた。実は上記のような最新の成果を知らずに書いたのだが、いまのところこういう先進技術がどれほど紹介されても僕が書いた結論は簡単に覆るとは思っていない。
実際、上のページでフッターの近くに並んでいる関連記事を見ると、「Blu-rayの40倍以上の大容量、日立や三菱化学が次世代光ディスクを開発へ」(2009)だとか、「CDサイズに500TBも詰め込めるデータストレージが登場」(2021)だとか、威勢のいい話が幾つも出ているのは知っていた。そして、それらの大半は実用化・商品化に失敗して消えているのである。それこそ、ホログラフィック技術を利用した大容量記録メディアなんて1960年代から口にされているけれど、既にその応用である HVD すらホラ話の類になりつつある。
今回のガラスを使ったアプローチは興味深いけれど、これまでの記録メディア開発の歴史から考えて、たとえ実用化されるとしても(そしてその工程に AI が活用されて幾らか加速するにしても)、それは僕が死んだ後だろうと思う。
それに、ディスク1枚に 360 TB を(追記可能な方式で)記録できるとして、大半の一般ユースでは何年も1枚で済むことになり、買い足す必要がない。なので、この記録メディアが1枚で1万円だとしても、これはコンシューマー向けのデバイスとして(デバイスの販売価格が、家庭用のビデオデッキとして初登場した当時の30万円くらいに設定されたとしても)全く商売にならないね。