Scribble at 2021-10-31 11:05:29 Last modified: 2021-10-31 22:49:57

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29日には届いていたようだが、あいにく出勤していたため、さきほど再配達してもらった。『新訓 山斎集』(上・下巻、浜田清次、堀見矩浩/編、鹿持雅澄先生景仰会、1991)は問題なく手元に届いている。状態はごく普通の古本で、読むのに何の問題もない。寧ろ、この手の入手が難しい出版物としては丁寧に扱われてきた部類と思われる。新刊を置いている現在の書店にあって、在庫として陳列されていてもおかしくない状態だ。

本書は上下巻の分冊になっていて、まず上巻は鹿持雅澄が20歳頃から晩年までの短歌約1,300首の読み下し文を収録している。どうやら先の持ち主が冒頭だけを読んだらしく、4ページにスピンがあって、そこまではペンで小さく書き込みが幾つか残っている(最初は鉛筆かと思ったが、消しゴムでは消えなかった)。とは言っても3ページから短歌が始まるので2つのページに目を通しただけで売り払ってしまったのかもしれない。なお、読み下し文だけが収録されているので、元の万葉仮名で書かれた句を見たい場合は、国立国会図書館で『山斎集』をデジタル公開しているため、そちらで対照されたい(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992521)。それから編者の浜田氏によると、当初は上巻にあたる短歌の読み下し文だけで出版するつもりだったとのことだが、この下巻にあたる長歌や文章も周囲の声を受けて出すことにしたとのことだ(とは言え、寧ろ下巻の方が2倍の分量を数えるほどの労作となっている)。こちらも読み下しで360首以上が収められていて、49編の文章や堀見氏の解説文が続く。

特に上巻の短歌は鹿持雅澄が学問を志してからの事績と共に書き継がれてきた句を集めているため、彼の生涯を知るには良い資料と言える。実際、ここに現れる地名を使って、堀見氏が「山斎集土佐地図」を本書の下巻に収録しているほどだ。

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