Scribble at 2021-03-21 19:25:57 Last modified: 2021-03-23 09:16:53

これに対して郵政省は猛然と反発し、逓信族議員を使って巻き返した。その結果、郵政省が丸ごと自治省・総務庁と合併する「総務省」という意味不明の官庁ができたのだ。自治省と郵政省は業務にまったく共通点がないため、庁舎のフロアも別々で人事交流もほとんどない。

総務省を解体せよ

確かに、「総務省」って意味がわからんのだよね。僕らの実務に関連する事項でも、たとえば情報セキュリティとか通信とかを担当してるかと思えば、COVID-19 についての広報だとか、地方自治とか、あるいは統計まで担当している。会社でも「総務部」というのは、配属された人たち自身ですらアイデンティティが不明な雑務担当と見做されているのが嘆かわしい。しかし、それもそのはずで、しばしば日本で発達している管掌だとされるのだが、そもそも海外に総務なんて部署はない。"general affairs of business administration" などと表現する日本の企業があるようだが、こんな意味の分からない英語は通じない。「仕事のこと」と言ってるのと大差ないからだ。要するに、営業とか開発とかデザインとかの〈主業務〉を差し引いた〈余り〉という発想で担当を作り、人員を割り当てようとするから、こんなことになるのだ。

そもそも、〈主業務〉という言い方と発想自体が間違っている。デザイナーが経費精算しなくてもいいなんて会社はないし、ディレクターが出勤するときにビルのテナント用に設置してある郵便受けから荷物を持って行って悪いわけがない。つまり、悪い意味での専門化がすすんでいるのが日本の会社であり、このような傾向が弊社のような零細企業にまで見られる。たとえば、資料やノートやステープラーの針だとかスティック糊を総務に依頼してアスクルやアマゾンで購入するというのは、お金の流れが一元管理できるという点では都合が良い。でも、値段が変わらないなら各自でアマゾンやアスクルで購入してもいいわけで、アマゾンのビジネス・アカウントならユーザの特権管理ができるから、利用する人にアカウントを設定すればいい。あとは、注文(もちろん事前に稟議を通すことが前提)なんて自分たちでやればいいのだ。こういうことを、「わたしってばデザイナーだから」とか「俺って、ハイテクのコンピュータ・プログラマ、みたいな」とか「僕ら、営業なんで」とか「吾輩は部長であーる」などと、意味の分からない理由でそういう作業を〈雑務〉だの〈主業務〉ではないなどと言っては、何か専門にやる人員や部署があるかのような思い込みに陥る。そして、いわゆる bullshit job と呼ばれるものができあがり、そういう人員が必要なので採用する。すると、もちろん本来なら不要な人員が増えるのだから、当然だが販売管理費、固定費、つまりは人件費が増えるため、当たり前の話だが自分たちの給料も減るというわけである。

要するに日本のホワイト・カラーというのは自分たちで自分たちの待遇に下方圧力をかけているのだ。無自覚が理由だとは言え、その大半の責任は自分たち自身の仕事に対する見識のなさとか「会社」や「組織」についての無理解だとか未熟な理解にある。

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