Scribble at 2025-11-06 19:36:12 Last modified: 2025-11-15 09:31:52

複数の国語辞典を解説したりランキングすると称して、アマゾンなどのアフィリエイトに「送迎」するだけのインチキな記事やウェブ・ページというのは、出版社のサイトやアマゾンなどに掲載されているスペックだけを見て実物を手にしていないまま文章を書いているので、たとえば紙面の判読性や一覧性などについて全く留意していないから、出鱈目かどうかを見分けるのが簡単だ。そして、仮に紙面の読みやすさや書体の視認性などを取り上げていない人物がコタツ記事のライターではなく、それなりに見識をもつ人物であったとしても、四十代以下の若者には辞書のユーザとして老眼鏡をかけるような人物が想定できていないから、いくら当人が国語学の博士号をもっていても辞書の評論者としては信用に値しない。辞書というものは、第一義には営利企業が発行する商品なのであるから、相当な割合の購買層にあたる中年以上のユーザを無視した評価は、学術的にどうであれ商品のレビューとしては未熟な欠陥文章であるとしか言いようがない。

また同様に、収録語数の話ばかりして、肝心のユーザである小学生や中学生が扱えるかどうかも考慮しないで学習辞典を批評したり推薦する未熟者の文章も、親としては可能な限り避けるべきだ。たいていの親なんて馬鹿で未熟なのに、更に輪をかけて無責任ですらある見ず知らずの大人や学生ごときが書き散らした文章など、絶対に読む必要はない。しばしば、「反面教師」などと言って馬鹿な文章を子供に読ませることも必要だと言う人がいるけれど、僕はそんなオカルトは信じない。たいていの凡庸な親に何が反面教師であるかを判別する能力や知識はないのだから、黙って権威ある者の言う事を聞けばよいのだ。大切なことは、誰がその「権威」であるかを知るために必要な判断力や知識をもつことであり、誰が国語辞典の権威ある推薦者として信用できるかを知るために、それぞれの親が国語学の博士号を取る必要はないのだ。

ともかく、オンラインで目にする文章の大半は、若造や未熟な成人が誰のために書いているのかも不明な文章を書き散らしており、それこそ生成 AI の方が遥かに有益なテキストを組み立てられると言えるほどだ。したがって、そういう連中に照らして考えるだけなら、とっくに「シンギュラリティ」は達成されており、AI は凡人の知性を完全に超えているのだ。だからこそ、彼らは必死になって AI を使いこなして、競合である同じ程度に無知無教養な人々の文章を凌駕しようとするわけである。AI によって自分たちの知性が乗り越えられているという自覚があるだけマシというものだ。その点は褒めてやろう。

さて、五十代を超えた僕らが参考にできるような解説となると、たいていは「文字が読みやすい国語辞典」といった主旨で検索することも多いわけだが、そういう検索で出てくる解説の多くも、残念ながら販促やマーケティングや文章のプロではない素人が書いている記事であるから、的外れな場合が多い。たとえば、「文字が大きい」というキャッチフレーズが付けられている辞書などを比較しても、実は意味がない。そんなものは、たいてい収録語数が少なかったり、いわゆる「編集モノ」であるから出版社の編集スタッフやフリーの編集者が DTP ソフトで既存の辞書データをいじくり回しているだけという粗悪品が多い。文字がいくら大きくても、粗悪品など買う意味はないのだ。

また、既存の小型辞典を再編集した B5 くらいのサイズで発行されている辞書を並べて紹介されても、これまた的外れでしかない。いったい、B5 の辞書なんて誰が会社に持って運ぶのか。それこそ、スマートフォンかタブレットの電子辞書を使うべきだろう。そういう、視認性が確保されていて当たり前のレイアウトで発行されている辞書など比較されても無意味である。既存の小型辞典で比較することに効用がある。実際、書店で実物を眺めると、おおよそ昔から学研の小型辞典が見出しの視認性で優れており、文字サイズやウェイトなどを上手く調整しているという印象がある。それに比べて、「いちばん売れている」と互いにキャッチ・フレーズを掲げて競い合っているような辞書の視認性は非常に悪い。たいていは、見出しも本文も細くて小さい明朝体を使っているからだ。

もちろん、これはインクの量を節約できるという事情から選ばれているわけだが、僕に言わせれば中年以上は国語辞典を使わなくてもいいと言っているに等しい。あるいは、ハズキルーペでも買えという話なのだろう。「小さすぎて、読めないっ!」からだ。でも、最近の新書や文庫を見れば分かるように、文字サイズを大きくする編集方針を採用しようと思えば可能なのだから、辞書など他の出版物でも同じ方針を採用してはどうかと思う。もっとも、新書や文庫は文字サイズが大きくなっているのと併せてページ数も増えているし、販売価格も3割くらいの値上げとなっている。もちろん、小型辞書なら頻繁に買い替えるものでもないから、3割くらいの値上げはなんとか許容できるはずだ。

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