Scribble at 2024-06-09 16:14:03 Last modified: unmodified
そろそろ『大鏡』を丁寧に読みながら評釈のようなサブ・サイトを公開しようかとも思うのだが、手始めにこういう注釈書を手に入れて見ると、まぁ昔の本にも酷いものがあるなと思う。上は橘 純一氏と廣野正次氏の『文法詳説 要語精解 大鏡通釈』(武蔵野書院、1958)だが、僕の想像していた内容とは違っていた。「通釈」という言葉は、個々の言葉について細かく解説せずに、文章の全体を通しで解釈するという意味がある。よって、『大鏡』という作品についての通釈だと言われれば、当然ながら『大鏡』の全文を解説しているものと期待する。でも、この本は『大鏡』の大半を扱っていない。恐らく分量としては『大鏡』全文の半分も取り上げていない抄訳もいいところである。もちろん、一部しか取り上げていないだけあって、取り上げた箇所についての解説は非常に詳しい。実際、400ページのうち、本文は140ページほど、残りの250ページのうち200ページが解説編となっていて、目次だけでも50ページある(ちなみに解説編に入るとノンブルが1に戻るので数え方には注意したい)。ということで、受験用の副読本なら最大かつ最強の本だと思うが、『大鏡』全体についての解説でなければ不十分であるという用途においては、「大鏡通釈」というタイトルは間違いである。