Scribble at 2021-11-22 13:12:58 Last modified: 2021-11-22 19:50:36

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iPadの新しい魅力は、パワフルなA13 Bionicチップ、センターフレームに対応した12MP超広角フロントカメラ、True Toneディスプレイテクノロジー、そして64GBから選べるストレージ。

10.2インチiPad - Apple(日本)

分析哲学や科学哲学という分野では、A5版のサイズで発行されている学術雑誌が大半を占めている。もちろん、American Philosophical Quarterly とか The Review of Metaphysics のように変形サイズの雑誌もあるが、それほど数はない。そして、もう既にそうした雑誌論文だけでも膨大な数の PDF を所持しているため、読むデバイスを持っておきたい。いや、実はこれまでも使っていたのだが、まともに使えなくなって暫く経つので、正確には買い替えたいのであった。いままで使っていたのは、10年近くも昔に年末調整の還付金を使って日本橋で(中古として2万円ていどで)買った Mouse Computer の LuvPad AD100 SMB-A1011 というタブレットだった。しかし、いまや Android 2.2 では Google Play にすらアクセスできないし、野良の APK ファイルを使ってすら、インストールできるソフトウェアもない。それに、PDF を読むだけとは言っても Acrobat Reader が快適に動作しなくなってきている。そういうわけで、契約できるうちに iPad に替えようというわけである。

単に読むというだけなら、もちろん自宅のデスクトップ・マシンで PDF ファイルを開くのは造作もないことだが、論文を読むためだけにデスクトップ・マシンを立ち上げてリーダーを使うのはオーバー・スペックで電気代の無駄としか思えないし、起動や終了に時間がかかって手軽さはないし、パソコンのモニターを見ながら身体の姿勢をいちいち変えてノートを取るなんて面倒臭いにも程がある。それから、ノート・パソコンを使うにしても、今度は机に置くとノートを広げる場所がない。PDF にコメントとしてノートを残せばいいとか、あるいはノート・パソコンでアクセスできるアプリケーションにメモを残せばいいというかもしれないが、僕は原則として学術研究のメモや原稿は手書きのノートやカードに決めている。最後の最後は、ノートだけ持っていればいいのであって、PDF の方を持ち歩く〈ついでに〉研究ノートを持ち運ぶという発想は本末転倒だ。そもそも哲学の業績というものは、PDF の論文をどれだけ読んだかで主観的な意義や客観的な価値が決まるものではないからだ。ということで、一時的なデバイスとして使うならタブレットが最適だ。情報処理の道具としては、このていどで割り切っておくのがいい(ここでは「情報処理」という言葉を使って、特に若手のプロパーを侮蔑することがあるが、もちろん学術論文を読むという実務そのものをバカにしているわけではなく、情報処理の結果というていどの価値しか無い論説や通俗本が多いからである。だからといって、情報処理が哲学することの必要条件だと言いたいわけでもないが)。

まず、A5 版のサイズくらいだと思って iPad mini を買おうかと選んだ。そして、実際に iPad mini を使っている連れ合いに、2台持ちのうち1台を貸してもらって、springerlink.com にアクセスし、Synthese に掲載される PDF の論文を iPad mini の画面で表示してみた。なるほど、ほぼ原寸大であるから、紙面を眺めるには全く違和感がない。しかし、よく考えると重大な問題があった。原寸大ということは、いま老眼鏡で読んでいる紙面と全く同じく原寸大であるがゆえに読み辛いのである。そうだ、原寸大なら、この読み辛さという尺度も〈原寸〉なのだ。これではタブレットで表示する利点がなにもない。せっかくだから、大きく表示して読みやすくしたい。しかし、そうは言っても iPad Air とか 11/12.9 インチの高額な iPad を買うまでの用途でもない。本当に PDF ファイルを開いたり、せいぜいブラウザでサイトを閲覧できればいいのだ。よって、残る選択肢としては 10.2 インチで少し大きく論文の紙面を表示できる、いわゆる「無印」の iPad ということになる。

そこで、au/KDDI のオンライン・ショップで土曜日に注文はしてみた。しかし、入荷したらメールで知らせるという反応しか無い。なるほど。KDDI のサイトに au ID でログインしてセッションを持ったままオンライン・ショップを利用しているのに、どうして氏名や住所やパスワードを入力する必要があるのかと怪訝に思っていたのだが、これは入荷案内の通知先として情報を登録するだけのフォームなので、おそらくは au の契約者であるかどうかは関係なく公開しているフォーム(要は使いまわし)なのだろう。ということで、他のサイトで調べてみると、いまや部品不足などの理由で1ヶ月待ちが当たり前ということのようだ。もちろんアマゾンやヨドバシで一括料金として購入するお金などないので、これは待つ他にない。

Internet Archive だとか、他にも幾つかのリソースから、既に一生を費やしても読みきれないくらいの PDF が手に入っているため、そこから取捨選択して読み切れるだけの分量に減らしたとしても、おそらくは今後も続々と増えていくのだから、可能な限り読むべき分量は制限して、あとは自分自身の考察なり論説を展開する時間を残したい。そして、そもそもそれが目的であり、ザクザクと処理していくための使いやすい道具がほしいのだ。学術研究は人文・社会系でも或るていどにおいて、力技のようなところはある。特にジャーナル・アカデミズムともなると、ひととおり定番の論文を抑えるところから始めて、先端の業績に素早く到達して〈ホットな議論に加わる〉ことが、新しい成果を上げるための凡庸だが手堅い手段だ。そして、こういうことを〈市井の思想家〉ぶってバカにしたところで、しょせんはアマチュアの遠吠えでしかないいうことくらい、国公立大のドクターだった人間なら十分に承知している。

[追記:2021-11-22]

結論だけ先に書くと、今日の夕方に早くも注文できるようになったとメールが届いた。かなり待つようだと思っていたので喜んだのだが・・・結局は注文をキャンセルした(注文せずに放置すると自動でキャンセルになる)。理由は、au Online Shop で注文すると、(1) スマートフォンからタブレットへの「機種変更」か、(2) 全くの新規契約、という二者択一しかなく、そして決済方法がカード決済しか無いからだ。au の通話料金と一緒に分割で支払うという方法が、少なくとも au Online Shop にはない。せっかく注文フォームでマイナンバーカードの画像まで一時的にアップロードまでしたのに、最後の最後でカード情報を入力しないと先へ進めなくなった。これではどうしようもないので、改めて近くの店舗で相談することにし・・・いや、面倒だし暫くは MacBook Air を使うかな。

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