Scribble at 2022-01-20 12:30:29 Last modified: 2022-01-20 12:31:59
デンマークのオーフス大学(Aarhus University)で政治科学を教える Michael Bang Petersen 教授が、ソーシャル・メディアに関する「神話」を列挙している。
一つ目の神話は、「ソーシャル・メディアには膨大な数の間違いやウソの情報がある」というもの。これは、研究によれば正しくない。実際には、間違いやウソの情報は僅かであり、これらをシェアしても大きな効果はないし、間違ってシェアしてしまうとしても愚行というわけではない。
二つ目は、「ソーシャル・メディアは人を攻撃的にする」というものだ。これも、研究では正しくない。オンラインで攻撃的な発言をすることは、寧ろオフラインでの鬱屈を反映しているのであって、そういう人はオンラインだろうとオフラインだろうと攻撃的になる。そして、そういう人に限って政治について発言するから目立つだけのことなのだ。
そして三つ目に、「ソーシャル・メディアはエコーチェンバーである」と言われるが、これも違う。ソーシャル・メディアは、その逆に、多くの場合でエコーチェンバーを壊している。我々はオフラインの生活よりもソーシャル・メディアで、もっとたくさんの人に接している。それは他方で、エコーチェンバーの中で仲良しごっこをしている限りお目にかかれない、自分の考えに反する人々を見かけることにもなる。でも、それはエコーチェンバーから抜け出ている証拠なのだ。
したがって、ピーターセン氏が提案するには、デジタル教育だけではなく、標準的な民主主義の教育も大切だ。問題はデジタル・デバイスやオンライン・サービスのスキルがないということではなく、それらに接したうえで何事かを合理的に判断する力がないということにあるのだ。僕も全く同感だ。そして、そういう判断の力は、小手先の揚げ足取りでしかない、昨今の浅薄な「論理学」とか「アクティブ・ラーニング」とか「クリティカル・シンキング」の通俗本などでどうにかなるものではない。
ああ、言っておくけど、PHILSCI.INFO でこうしたバカげたコンセプトは批評しないと宣言したけど、こっちで言及しないと言った覚えはないよ。もちろん、必要に応じて無能どもは明快に取り上げて叩き潰してやるから、クズみたいな哲学プロパーや物書きは覚悟しておくがいい。