Scribble at 2020-01-08 12:34:13 Last modified: 2022-09-30 17:12:55

そんなことから、Peterson先生を日本に紹介しようと思い、先生の主著のMaps of Meaningを日本語訳して公開しようかと思い付き、翻訳を始めた。この本はPDF版が先生のブログから無料でダウンロードできる(装丁本は有料)のである。15ページほどの長い序章を、知り合いのプロの翻訳者にも手伝ってもらって日本語訳した。翻訳文のリンクをこのページの冒頭に載せておいた、まずはこれからスタートしようと思う。

Jordan Peterson先生について

ジョーダン・ピーターソン氏は、当サイトでも取り上げているジェームズ・ダモア(Google の元社員)を擁護したり、カナダで 2017 年に法制化された "Bill C-16, an amendment to the Canadian Human Rights Act" という、人称代名詞をジェンダー・フリーとするような命令と解される条項を含む法令に反対したりと、左翼や LGBTQ のアドボカシーには評判の悪い人物だ。なお、Bill C-16, an amendment to the Canadian Human Rights Act って、確かにピーターソンが抵抗してることで知られてるけど、具体的にどういう表現が想定されているのか、誰も具体例を記事で書かないんだよね。わざと避けてるようにしか思えないのだけど、具体例を表記するだけで違法になるのだろうか。たとえば、"salesman" とか "call girl" などと書くなってことなのかな。(もちろん、当てつけのつもりで書いているわけではないが、そう受け取られてもかまわない。正確に何の話をしているのか記述しないほうが悪い。結局、何の話をしているのかわかってなくて報道したり議論してるんじゃないのか? 哲学者にバカ呼ばわりされなくなければ、正確な事例を示したまえ。)ともあれ、どういう知見なのかを知っておく必要のある人物であることに変わりはないので、こういうページは(翻訳について許可を取っているのかどうかは別の問題としてあるわけだが)参考になる。

ちなみに、こういう人物の文章を読むからといって、表面的には似たようなことを書いているネトウヨの文章まで読む必要があるとは思っていない。そういう連中の書いたものなど1行たりとも読む必要はないし、《読まずに批判はできない》なんて形式主義の反論など、読まずに別のちゃんとした根拠でクズと断定する力があるわれわれ哲学者には何の効果もないからだ。クズと断定したものは、いちいち批判することすら無駄であり、そういうものは単に無視すればいいからである。そもそも、そういうクズみたいな文章を書く人間は、学術研究者や大人や社会人全般にわざわざ読んでもらって批判してもらう価値があると考えている時点で、中二病である。なんでもかんでも「言説」などと言って価値があるかのように見做している、センチメンタルなルポライターや社会学者や左翼と同じだろう。

それにしても、このピーターソンは現在でも風当たりが強いらしく、さきほども Twitter で "Ted McCoy @tedmccoy / I heard it rumoured students will fail my class if they cite Jordan Peterson and I'd like to clarify that this is absolutely correct" なんてツイートが大量に RT されていたほどだ。

で、僕の雑感として言うと、この人物の考えていることはリバタリアンの対極ではないかと思う。イデオロギーとしては、恐らく右も左も大して関係ない。それはリバタリアンも同じなのだが、リバタリアンは既得権益に乗っかって後からくる人間には自由を要求し、自分たちがいまの立場を掴んだ条件という梯子を外してしまう卑怯者だが、ピーターソンは寧ろ宗教や道徳を据えた人間観や社会観を強固に提出して、バーチャルな梯子を新しく掛けようとしているように思う。もちろん、梯子を外されたところで多くの人がうまく生きていくのは難しいし、同じように擬制だろうと何だろうと梯子があると言われて登っても、多くの人は落ちてしまうし、登り方が分からないので、ピーターソンのような司祭を自認する人々を必要とするようになるわけだが、さて。

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