Scribble at 2025-04-16 15:51:57 Last modified: 2025-04-16 19:49:29
女性の親族の連絡を受けて発覚し、同社の小柳亮社長らが親族に謝罪。運転手は謝罪を拒否し、3月末で退社した。同社は研修を実施して再発防止を図る。小柳社長は「信頼回復に向けて全社一丸となって取り組む」とするコメントを出した。
この手の弱肉強食マンというのは、福祉や延命医療が基本的に社会的な浪費であると言っているようなリバタリアンだけに限っての話でもなく、色々なスタンスの人々にいる。左翼やリベラルを自称している人の中にも、本当のところ自分が福祉や医療によって助けたいと思っている「人間」以外はどうだっていいと考えてるやつがいくらでもいるわけで、それこそクリスチャンにとって黒人やネイティブ・アメリカンは長らく「人間」じゃなかったので、「人間」を想定している福祉の対象ではなかった。はじめてアフリカ系のアメリカ人の枢機卿が選出されたのは2020年の話である。
それから、この運転手でも自分の親族が何かの事情で両足を失ったりすれば、行政から補助を受けて車椅子をレンタルしたり、ヘルパーに介助してもらおうと考えるかもしれない。それは、もちろん矛盾しているように思えるし、ダブル・スタンダードであるとは言えるが、実際のところ(これは大学で論理学を学んでいた者としても、つねづね思っていたことなのだが)たいていの人にとって「矛盾している」ことなど屁でもないのだ。矛盾していなければ大金持ちになれるのか? 言動が一貫していれば病気が治るのか? そんなこと、たいていの凡人にとってはどうだっていいのである。なので、僕はたいていの他人の未熟さとか支離滅裂さに怒ったり幻滅したりしない(もちろん悪意や卑劣さには腹を立てるが)。凡人が未熟であり、首尾一貫したものの考え方をしないのは、あたかもアリが巣穴から餌まで行進していくような「自然の摂理」とでも言えることだからである。同じく、手に持っている石を手放すと落ちていくようなことと同じである。落ちていく石に向かって怒ってみても無意味であろう。
もちろんだが、僕はこの運転手が謝罪を拒否したことについて、社会正義と矛盾していてもそういう感情はあるなどと擁護したいわけでもないし、ましてや謝罪を拒否した態度が潔いなどとインチキ右翼のように称賛するつもりはまったくない(インチキ右翼やカスみたいな保守なら言いかねない)。だが、こういう人物を研修などで教育するのは、僕は無理があると思う。なので、自主的に退職してくれてバス会社は安堵しているかもしれない。それは、20年くらいにわたって IT 系の社内研修を続けてきた僕自身の経験からも言えることである。技術とか情報とか、要するにコンピュータや機械に興味がないままネット・ベンチャーに勤めている人が、実際には世界中の企業において大半を占めている。いわば「テクノロジー・ネイティヴ」と言ってもいいような環境で生まれ育ってきた人々に、自分たちの暮らしや道具や環境を正確に、高度に理解せよと言ったところで、はっきり言って無駄である。僕らのようなレベルに教育する必要もなければ、その意味もないのである。彼らは、たとえ人事や営業ではなく、コーダやプログラマであろうと、あくまでもテクノロジーの「ユーザ」でしかない。同じように、この運転手がバス会社を辞めても年金で食べていけたとして、行政がどうやって年金や社会保険といったサービスを提供し、それが結局は彼の否定する福祉と同じ福祉国家の機能であり、その原資がどうなっているのかを理解せよと言っても限界がある。