Scribble at 2017-12-05 09:14:50 Last modified: 2022-09-22 13:18:28
昨日は identity について考慮したい話題の本を買った。
全くの余談だが、上記の表現は、identity について考慮したい「話題の本」と書いたんじゃなく、「identity について考慮したい話題」の本と書いた。前者の脈絡だと、単に売れ筋の本を買ってみただけという意味になるが、後者の脈絡だと「話題」というのは世評という意味ではない。もちろん、もともとの文を「昨日は identity について議論する際に考慮したいと思っている話題について取り上げた本を買った」と書けば誤解の余地は殆どなくなる(少なくとも流行イケイケの本というニュアンスで誤解されることはなくなる)。
話を戻すと、いまのところ幾つか読んできて、"digital" identity や "online" privacy の議論で底の浅いものは、たいてい identity というトピックに関わる本書のような議論が扱う範囲を無視して、技術や仕様の知識だけに訴えていると思う。人文・社会系出版社の人間が総じて疎い開発やネットの用語に通じていれば、あとは適当に青臭い正義感というワイヤーフレームにそれらの語句を貼り付けて、立派な「社会思想書」という 3D モデルの出来上がりだ。日本の読書家や消費者というのは、実際のところそういう代物をしばしば買わされているのである。