Scribble at 2022-06-23 18:18:41 Last modified: unmodified
実際には初心者やノービスの回答も含まれているので、主に professional developer の回答だけを見ているのだが、なかなか興味深い。
まず、さきほどの投稿でオンラインのリソースは大半がロクでもないと書いたが、多くの人がオンラインのチュートリアルやビデオやフォーラムを利用しているのも事実だ。この StackOverflow も、その一つであろう。もちろん、僕は全てのオンライン・リソースについてガラクタだのゴミだのと言うつもりはない。でも、なくても開発ツールを習得するのに致命的なリスクや非効率が生じるとも思えないという点は、決して譲れない。なお、上記の統計を見ると、若者ほどオンラインのリソースを使ってツールを習得し、高齢者になるほど本を使って習得したという結果になっているが、これは当たり前である。30年前にはオンラインのチュートリアルなど存在しなかったので、30年前の大半の若者は本を読むしかなかったのである。よって、「老人ほど本に頼る」といった偏見、あるいは「ガキほど動画を観たがる」といった偏見の材料にしてはいけない。結局、有能な人間は、こんな手段などどうでもいいのだ。そして皮肉にも、大半の凡人も、どういう手段を使おうと凡庸な理解と凡庸な成果しか生み出せないという意味では、習得した手段なんて大して重要ではない。
次に "used technologies" を見ると、JavaScript, HTML, CSS, SQL という定番があって、いわゆる「プログラミング言語」としては JavaScript が圧倒的だ。フロントエンドの実装にも従事するフルスタックの開発者が多くなれば、それも当たり前のことだろう。いまや JavaScript でフロントエンドを弄繰り回さない商業サイトや、JavaScript でビジターの個人情報を(無断で)掠め取ろうとしていない商業サイトなんて、珍しいくらいだ。それから、既にシェアとしては Python と PHP が逆転してしまって久しいわけだが、これは StackOverflow に集まっている人々の多くがウェブの制作会社のコーダやプログラマではないからだろう。やはり現在でも、ウェブ制作では PHP の採用が圧倒的である(その理由の大半は Wordpress を使うからなのだが)。そういう意味では、この統計はウェブにおける実装の実務を公平に反映しているわけではないと言える。正直、企業のコーポレート・サイトを Python や Ruby でわざわざ実装してる事例なんて、逆に教えてもらいたいくらいだ。
それから、"web3" という項目でブロックチェインに関する統計が出ている。だが、質問の内容は暗号化の技術に関する好感度や信頼性や将来性について聞いており、これを "web3" などと表現するのは、はっき言えばナンセンスだ。無意味という意味ではなく、技術者としてのセンスがないということである。なぜなら、パスワードをハッシュ化したり暗号化してデータベースへ保存するなんて実務は web3 とは関係なくみんな昔からやってるし、decentralization も意味が曖昧過ぎて質問としては不適切だと思う。なんにせよ、プロはアマチュアに比べて否定的な傾向が強いと解説されているものの、概略として言えば「まだわからない」というのが実情だろう。そして、それが現実的な態度というものだと思う。とりわけ仕事として何らかの実装に携わるのであれば、開発者個人としての好き嫌いを回答したり今の時点で何か態度として決めたところで、そんなものはどうでもいいことだからだ。
そして、あまり見てもしょうがないが、最後に Salary を紹介すると、比較のために僕の給与所得を基準にすると、インドの技術者は僕よりも全員が低所得であり、アメリカの技術者は僕よりも全員が高所得である。でも、これはもともと言っても仕方がない。そういう待遇が本当に嫌なら、英語で読み書きくらいはできるのだから、とっくにオンラインで活動してアメリカの企業に転職している。