Scribble at 2024-04-05 17:02:36 Last modified: unmodified

さきに述べた、高校の数学と大学の数学を「橋渡しする」なんてことを本気でやるなら、おそらくそれは高校の数学について2巡目を繰り返すことなのだろうと思う。ただし、もちろんだが同じことを繰り返すわけではない。

たとえば、高校の数学では自然数、整数、有理数、実数、複素数といった話から、公約数だの、せいぜい剰余定理あたりまでを教えるのが精一杯だと思うが、これは大学の数学になると「数論」や「代数系」という立派な一つの専攻科目になる。集合論とか必要条件・十分条件、それから数学的帰納法といった話題は、僕が大学院で(ほんのさわりだけ)学んだ「ロジック」とか「数理論理学」とか「数学基礎論」という広大な分野として広がっていく。それから、数列の単元で登場する漸化式だって、「差分方程式」として独立したテーマになる。

かようにして、高校で学んだ全ての単元は、実際には大学だと一つ一つが専門の研究分野に匹敵するのだ。僕らは高校の課程で、それらの分野で得た定理だとか性質を簡単な範囲に適用するといった条件の中で扱っているにすぎない。よって、高校数学を学んだからこそ分かるような「橋渡し」の地点がどこにあるのかは、実は数学のプロパーのように最初から高等数学の特殊な分野だけを突き詰めているような人たちには、逆に分からないのかもしれない。そういう人たちは、わざわざ「橋渡し」しなくてはいけないギャップなんてなかったからだ。

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