Scribble at 2024-08-30 09:13:00 Last modified: 2024-08-30 09:30:38

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福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館

東大阪市の「山畑古墳群」のヴァーチャル博物館といった体裁のサイトを設計している。コンテンツはおおよそ決まったので、ひとまずフロント・ページの情報配置やページ単独での UX を検討していて、もちろん既存の史跡サイトや博物館のサイトも参考にしている(海外のサイトも含めて)・・・のだが、はっきり言ってあまり参考になるサイトはないというのが印象だ。

まず第一に、これは仕方ないのかもしれないが、史跡や博物館のサイトというものは、日本においては殆どが官公庁や地方自治体あるいは指定管理団体が運営しており、はっきり言えば予算がない。したがって、サイトの制作や更新作業を発注するにも地元のウェブ制作会社、もちろんその大多数が素人に毛が生えたていどの学生上がりや、都内から移住したロハスだかノマドだが、そういう伝手で食っていくしかない出入り業者のような人々に発注する「地産地消」が関の山だ。あるいは妙な規模の予算があってコンサルに騙されて「硬さ」だけが売りの中堅 IT ゼネコンとかに委託したところで、そもそも情報設計、キャパシティ・プランニング、セキュリティ、UX、いやそれどころか自治体が運営しているくせにアクセシビリティすら考慮されていないサイトが非常に多い。要するに、発注する側に全く知見や経験がないので、代わりに委託先を見つけてくれる自称「ITコンサル」ですら馬鹿や詐欺師や無能を選んでしまうから、結局はロクな委託先が見つからないのだ。もう昔から言ってることだけど、自治体でも企業でも「デジタル事業部」みたいなものをちゃんと設置して、地元でも都心の事業者でもいいが、少なくとも自力で評価できるだけの CTO なり CIO を採用し、そしてわれわれのようなプロに専属で仕事を任せることが最も手堅いし、結局は自治体の予算を有効かつ効率的に運用することにもなるはずだ。ゼネコンやクラウドワーカー(あるいは・・・言いたくないが、たいていの広告代理店)なんかにウェブ・コンテンツの制作や運用を委託するなんて、血税を窓から投げ捨てるようなものだ。

で、アクセシビリティというと、すぐに視覚障害者向けに accesskey 属性をアンカーに設定するとか画像に alt 属性(誰が「alt タグ」とか言い始めたのかは知らないが)を空白でも入れておけとか、そういう部分最適化の話ばかりして得意げになっている人々が多いわけだが、そもそもコンテンツとして何を提供するかという根本的なところでの「設計(デザイン)」を無視して、輪をかけて愚かなクライアント(役人や広告代理店の営業)の要望と、サイトが想定する利用者のニーズなり状況なり身体的な条件とを擦り合わせるというフェイズなり観点が欠落していることが多い。これは、もちろん僕らこそが数多くの地方自治体の案件を担当してきているので、実際に経験しているからこそ言える。それは、工期の問題もあれば役人がおおむね無知無教養であることにも問題があろうし、広告代理店がそもそもウェブの制作実務やテクノロジーを殆ど(ITパスポート試験レベルですら)理解していないという問題もあるが、もうそんなことは当サイトで20年近くに渡って指摘したり意見を述べているわけで、いまさら繰り返すまでもないだろう。

ただ、最低でも制作側で工夫できることはあろう。上のスクリーンショットは「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」のサイトだが、ページの真ん中あたりに並んでいる「ご利用案内」や「展示会情報」や「ミュージアムショップ」といった、実質的にはボタンと言って良い UI コンポーネントの背景画像に(実際、上のスクリーンショットでは画像全体がロードできていない)、なんと5,000ピクセル四方の 15 MB もある画像が使われている。ただでさえスペックが乏しい地方自治体のサーバ(たいてい、月額2,000円とかのレンタル・サーバだが、予算があると逆にゼネコンに丸投げでアホみたいに高額のサーバを利用したりする。でも、スペックは大した事ないし yum update すら実行しないガラクタだったりする。騙されてるんだよ、こういうのって)で、こんな過剰なリソースを運用するのは、どう考えても制作側のミスであろう。こんなもん、たとえ「圧縮すると画像が汚くなる」なんていう話をクライアントが聞きかじっていたとしても、こんなサイズの画像を圧縮せずに置くのは過剰だし、寧ろ怠慢と言っても良い。これこそ、身体障害者であろうとなかろうと、誰もが快適にアクセスできることが望ましいという意味でのアクセシビリティに反するような設計・実装だ。

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