Scribble at 2026-06-07 09:20:11 Last modified: unmodified

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S&P 500 rejects SpaceX, also blocking entry for OpenAI and Anthropic

よく日本の劣化、あるいはインチキなリバタリアンだとかチンピラのネット・ベンチャーの起業家とかが、アメリカを引き合いにして「自由な市場」だとか規制緩和を訴えるわけだけど、アメリカでもくして自律的に基準を維持している組織というものが色々なところにある。それがリベラルや左翼なのかどうかは、はっきり言ってどうでもいい話であり、要するに自分たちの作った基準やルールを簡単に変えたり無くしていいのかという責任感の問題だ。そして、上の記事で紹介されている事案も、その一例だろうと思う。

イーロン・マスクが率いている SpaceX 社は、IPO に際して異例のスピードで S&P 500 の主要指数に組み入れるよう、運営組織に要求しているという。これは、S&P 500 に自社の銘柄が組み入れられたら、その企業の証券は自動的に大量に購入されることが確定するからだ。これは ETF や年金どいったファンドが、S&P 500 を構成する銘柄を構成比率に応じて保有しなくてはいけないという義務があるからで、S&P 500 に銘柄が入ったらファンドは強制的にその新しい銘柄を購入しなくてはいけないのである(「指数採用プレミアム」という)。これによって大量に証券が購入され、企業に資金(パッシヴ資金という)が短期間で入ってくることを期待して、SpaceX は S&P 500 銘柄への組み込みを求めているわけだ。そして、この指数採用プレミアムによって大量の証券が買われると、他の投資会社なんかも保有しなくては負けることになるから、追随して買いに回ることが多く、したがって株価が短期間に劇的に上がるのだ。このようなプロセスで、SpaceX では約140億ドル(約2兆2,000億円)の調達が見込まれていたという。他にも、OpenAI や Anthropic も同様の要求で資金の調達を期待していたようだが、全て却下されている。

S&P 500 を運営している S&P Dow Jones Indices 社によれば、SpaceX らは直近の四半期+過去4四半期の黒字という要件を満たしておらず、公開株比率(IWF)が低く、また負債も増加しているという財務的な問題もある。これは、僕も妥当な判断だと思う。生成 AI がこれからも有効なテクノロジーとして育ってゆくこと自体は否定しないが、そのために必要なリソースを、あまりにも多くの企業が奪い合っている状況にあり、産業そのものはともかく個々の事業者は非常に不安定だと言える。既にユーザとしてご承知のように、コードの生成にしても文章の生成にしても、あるいは画像や曲の生成にしても、主要な事業者の品質には大きな差がなくなりつつある。正直、日常遣いの簡単なコードを書かせるだけなら、別に Claude なんて使わなくても Gemini で十分だし、画像、しかも描写がシンプルでも構わないアニメや漫画のイラスト描写であれば、もう現状の SDXL (Illustrious XL) の品質で十分だろう。大半のユーザは、別に自分で薄い本を作りたいわけでもなし、印刷所に入稿できるような解像度で画像を作りたいわけではないからだ。僕にしても、せいぜい自分のパソコンの壁紙ていどの解像度で良い画像を作れたら十分であり、Qwen 3.6 や FLUX.2 などの巨大なモデルなら素晴らしい画像が作れるかというと、そういうものでもないことは、既にこの3年ほどのあいだに数百万枚の画像を作ってきて実際に分かっている。

市場の大局としては、そろそろ生成 AI の市場も整理の時期にやってきているのではないか。もちろん、API と適当なフロント・エンドだけで「AI サービス」を自称するような、情弱と田舎者と地方自治体をカモにするようなチンピラどもが残るのは仕方ないことだが、巨大なプラットフォーム事業の競争は限界が見えているように思う(もちろん、AGI なんていう妄想とは関係のない限界だ)。

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