Scribble at 2022-01-28 17:02:33 Last modified: 2022-01-28 17:24:18

iPhone に電話がかかってきた際に、まだ連絡帳へ登録していない取引先や同僚だったりすると、通話履歴のリストから連絡帳へ登録したいと思うのが人情というものであろう。しかし、まず Android のユーザの大半だと、この通話履歴のリストをタップするといきなり電話をかけてしまうという iPhone の挙動に驚かされたり困惑させられるものだ。これがどうにかならないかと質問しても、だいたいマカーというのは神との契約を守るものなので、「リストの中央をタップすれば発信、"(i)" のアイコンをタップすれば何事か違う出来事が起きるとわきまえるものだ」としか返事をしないものである。UI デザインとして一貫性が欠落しているにもかかわらずだ。

要するに、それが当たり前だというなら、たとえば Mac のデスクトップや iPhone のホーム画面のドックに収まっているアイコンを長押ししてやっとコンテクスト・メニューが出てきたりアイコンを動かせるようになるという挙動を修正せず改めないままでいるのは、一貫性が欠落していると思う。ボタンやアイコンという、タップする挙動によって何らかのアクションを起こさせる UI 要素について、「タップするしかない」という挙動と、「長押しするしかない」という挙動を混在して設計するのは、どう考えてもエンド・ユーザを混乱させるものだ。それらを「仕様」の一言で状況によって使い分けさせる（つまり使い分けると期待する）ようなことは、職業デザイナーなら叩き込まれるはずのフェイル・セーフという基本的なコンセプトを無視しており、プロダクト・デザインとして理解しがたい。

iPhone だろうと Android だろうと、これは「電話」についてのデザインなのである。これを忘れてスマートフォンのデザインに携わる者など、少なくともデバイスを作っている会社では働いてもらいたくない。