Scribble at 2024-11-18 09:06:13 Last modified: 2024-11-18 11:01:37

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福岡県の魅力を発信する目的で今月開設されたサイトに、実在しない観光名所やご当地グルメが紹介された。記事は生成人工知能(AI)で作成していたといい、サイトを運営していた東京のウェブ関連会社は、事実と異なる記事だったとして全記事を削除して謝罪。サイトを後援していた福岡市は事態を重く見て後援を取り消した。魅力を伝えるはずが、なぜ誤情報の発信となったのか。

生成AI、実在しない観光名所紹介 福岡市後援の官民連携サイト

連れ合いに紹介してもらった記事だ。さきほど社内のチャットでも紹介して、「コンテンツや文章をリリースするまえに校正しろなんて、高校生でも知ってることだ」とは釘を刺しておいた。もちろん、弊社でもこうしたイージーな扱い方で仕事をしている人間がいないとも限らないからだ。

ここで繰り返しておくが、コンピュータや道具を使って仕事をするという自己イメージは、要点を正しく理解しないと根本的に間違ったスタンスになってしまう。しばしば、プログラマとはどういう人間なのかなんていう話題に、「手抜きしたい人間がプログラマになる」なんていう回答を繰り広げる人がいて、僕はそういう話には半分も与さない。なぜなら、端的に言ってそれは、そこで終わってしまうなら凡人の雑談にすぎないからだ。凡庸だから、機械や道具をそんなふうにしか捉えられないのである。

機械や道具を効果的に、それこそ時間や労力やコストを節約するために活用するなら、それをどこでどう使うべきなのかを適正に設計し、そしてもちろん単に使うというだけではなく、どう使うべきかも正確に習得してトレーニングしなくてはいけない。そうしてこそ、求める状況において機械なり道具は素晴らしい成果をもたらす。機械やコンピュータで、そういう意味では「手抜き」ができるのは確かだが、しかし事前の設計や準備やトレーニングなしに機械のボタン一つを押しただけで何もかもが済んでしまうような作業であれば、そもそもプログラマなんて必要ないし、いわんやわれわれのような distinguished engineer など不要であろう。そうした、プログラムなり機械を効果的に運用する「デザイン」をするのも(コーダなんていう開発言語のオペレータではない)プログラマの役目であり、そういう意味では、わざわざ "DX" なんて言わなくても、優秀なプログラマはデジタル・デバイスやネットワークやアプリケーションを効果的に活用できるように業務フローを最適化するうえで、最初から同じことをやっているのである。

したがって、生成 AI を使うからといって校正という作業が消えてなくなるわけでもないのに(もちろん、まともな IT 人材は生成 AI のリスクも知っている)、ボタン一つを押したも同然の仕方で生成されたコンテンツを全く確認もなしに納品・リリースしてしまう「ウェブ関連会社」とは何であろうか。またぞろ、営業代理店や印刷屋が片手間にウェブでも受注して一儲けなんてことなんだろうけどさ。いまや生成を AI を使えば、文章もデザインもコードも機械が書いてくれるというわけだ。実務作業のスタッフが必要なくなるというなら、そら営業しかやったことがないスーツを着たチンピラでも「ウェブ制作会社」を名乗れると錯覚してもおかしくないし、印刷しかできない人々でも「あなたも今日からウェブデザイナー!」みたいな妄想で仕事ができると考えてもおかしくない。でも、そこには実務を全て(生成 AI うんぬん以前に)機械に置き換えられるという根本的な勘違いや錯覚があるのだ。

「寧ろ、営業マンや印刷屋の方が簡単にメール・マーケティング・サービスとかデジタル出版サービスに置き換えられるんじゃね?」

とか言われたら、もちろんこの「ウェブ関連会社」が営業崩れや印刷屋崩れであるとは限らないが、ともかく困るだろう。たとえそれ以外の、学生や主婦、あるいは上場企業で適当な仕事をしていた人間が脱サラしてイージーに起業した会社であろうと、ともかくお前たちのような人間の仕事こそボタン一発で終わりだと言われたら困るだろうに。

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