Scribble at 2021-02-25 10:04:18 Last modified: unmodified
ことわざを日・英・仏で比較している著作だ。ことわざや慣用句を大真面目に倫理学や哲学として議論するというアプローチは、実は PHILSCI.INFO でやってみようと思ったことがあって、他にも非形式論理やクリティカル・シンキングで扱われる色々な事案を、敢えて総覧的に紹介するようなコンテンツも考えていた(膨大な数のバイアスとか詭弁があるだけでなく、それらが実は有効な場合もあると示すことで、逆に〈効果的〉な議論と〈論理的〉な議論は違うし、どちらの目的が正当であるかは自明ではないと訴えるために)。なので、本書は面白そうな内容だし、「比較」社会学というアプローチの実例としても参考になる。発生論として日本のことわざが〈輸入物〉だとしても、国内で使われるうちに意味が違ってくるといった事例もあるだろうし、通時的な観点と共時的な観点の両方が必要となる筈だからだ。