Scribble at 2024-05-23 14:27:41 Last modified: 2024-05-23 14:28:04
昔、つまり前世紀までは感じなかったのだけれど、ここ最近は Cambridge University Press から出ている書籍の装丁に違和感を覚えることが多くなった。要するにデザインとして下手なんだ。Cambridge Elements と VSI とを比べても、装丁のセンスのなさは明白だ。昔の Cambridge Studies in Philosophy のような、シンプルでシリーズとしての統一感も優れていたデザイン・センスが、Cambridge Elements には感じられない。まるで生成 AI の画像を背景に貼り付けた、学生の卒業制作みたいなレベルになってしまっている。
もちろん今世紀になって Oxford University Press も装丁のデザインがかなり変わっていて、Cambridge ほどではないがセンスは悪くなったと思う。僕はかつての Clarendon Press at Oxford U.P. のような、或る意味ではお高く止まった権威者然とした装丁が好きだったのだけれど、いまでは A Brief History of the Philosophy of Time (Adrian Bardon, 2013) のように、もうなんだかアマゾンでバラ撒かれている、素人が KDP で出版した電子書籍みたいな装丁が増えた。悪いけど、こんなレベルの装丁なら、俺みたいなレベルのデザイナーだったら文字通り「秒」で納品できるぜ。それこそ、いまでは生成 AI を使えばこんな低レベルな表紙デザインなんて1日に100万パターンでも作れる。
もちろん、表紙のデザインで中身をどうこう言うつもりはない。しかし、明らかに予算と工期が不足していて、出版しては次の制作に取り掛かるという自転車操業的な財務状況なのか、あるいは人手が不足しているのか(人手が不足していて多くの出版物を手掛けなくてはいけないなら、もちろんそれは財務状況が悪化しているということと同じだ)、ともかくこれでは更に洋書の値段は上がるいっぽうなのだろう。