Scribble at 2023-11-23 22:56:41 Last modified: 2023-11-24 21:50:50

One of the most prominent backers of the “effective altruism” movement at the heart of the ongoing turmoil at OpenAI, Skype co-founder Jaan Tallinn, told Semafor he is now questioning the merits of running companies based on the philosophy.

The AI industry turns against its favorite philosophy (semafor.com)

今回の、OpenAI で起きた解任騒動は、AI 業界の英雄的な先導者を引きずり降ろした役員会への反感という大きな力で沈静化したように見える。中には、アルトマンに従って OpenAI を退職するとまで言い出した9割以上の社員を、まるで忠臣蔵か山一證券の社員みたいな扱いで称賛する人も出てくる。でも、上記の記事で書かれているように、これは状況の偏った理解でしかない。なぜなら、アルトマンの方針が「正しい」という大前提が無い限り、今回の解任劇からの復帰や付随する多くの出来事も妥当とは言えなくなるからだ。

では、その正しさとはどういうものなのか。一つは、AI なりテクノロジーに対するリバタリアン的な自由放任主義の発想に関わるだろうし、もう一つは AI だろうとなんだろうと一部の役員の暴走なり背任を牽制するための取締役会という会社の制度の是非に関わる。そして、前者についても一定の歯止めが必要であるからこそ後者のような仕組みがあるというのに、今回は役員会の牽制がマイクロソフトを始めとする株主の圧力や、大半の社員の造反という圧力、つまりは一部のステークホルダーの圧力で覆ってしまうという事例になった。そして、この OpenAI の役員会のスタンスは accountable AI とか ethical AI というもので表現できる、テクノロジー企業にはあって当然の抑止力であったため、これが打ち破られるとなると、要するに技術者はやりたい放題ということになってしまう。

僕が Twitter を始めた2007年頃から何度もツイートして指摘したり警告してきたように、こういうやりたい放題が常態化されたり IT 企業の「風土」などと正当化され、脱法的な「イノベーション」や不正な「先進」サービスを規制や法令が整備される前に展開して「売り抜ける」ことがゴロツキ起業家のセオリーになっては困る(もちろん、こういう連中がマザーズやヘラクレスとかに上場するための架空の巨大な売り上げとか理由のない第三者割当増資などは、その殆どが仲間内の融通だったり、場合によっては反社との「援助交際」だったりする)。しかし、リバタリアン的な自由放任主義の主張は、そういう連中に好き放題させるためのレトリックとしてエンジニアの意欲や好奇心に便乗することを許容し、規制や法令は(脱法的なビジネス・モデルの、ではなく)エンジニアの矜持や向上心の敵であるかのように嘘の対立を煽るようなトリックが続けられてきたわけである。

かようにして、規制や法令あるいは事業としてのルールを整備することが、あらゆる意味で「死ぬまでコーディングしていたい」系の都内の三流エンジニアどもの矜持やクリエーティブとやらへの足かせになるといったウンコ理屈(bullshit)が SNS では大手を振ってまかりとおり、セキュリティや個人情報保護法制の分野ですら、同様な思想をもつ高木浩光氏や、「LINE法制学会」などと揶揄される情報法制学会の産官学で癒着した法曹や法学者が日本の情報セキュリティや個人情報保護法制を牛耳っているのが実態だ。要するに日本ではガキや起業家が喚いたり泣き叫ぶほどのまともな規制も法令もないのである。プライバシーマークの運用実務家であり、情報セキュリティのプロである僕自身が、業務上の経験としても、あるいはセキュリティに関心と素養を持つ科学哲学者としても明言できる。正直、お前たち都内のクズエンジニアどものチンコの長さなんていう「矮小な」プライバシーどころか、この国は国防機密ですら殆ど外国に筒抜けである。

ということで、日本ではプライバシー法制でも他の分野でも制度設計が(とりわけ EU に比べて)10年くらい遅れているけれど、では法令が整備されていないからといって、日本で法律が規制できないところで爆発的に事業が生まれたり拡大しているのかというと、そんなことは全然ない。むかしも今も、この国で最先端の通信技術や金融決済技術や情報セキュリティ技術、あるいはフロント・エンドのデザインですらを操っているのは、量子コンピューティグでもなければ暗号資産でもなく、端的に言ってエロゲーやエロアニメやエロビデオを制作したり配信しているアダルト業界である。なので、実際には、日本の IT や(堅気の)ネット・ベンチャーにイノベーションなんて殆どないし、GAFAM 級のサービスやビジネス・モデルを考案する人材なんていないし、いなかった。楽天なんて、しょせんは旧第一勧銀系のツテで金を回して事業を拡大したり上場しただけのことだし、GMO も出自であるアダルト事業(ダイヤルQ2)で荒稼ぎした会社にすぎない。さくらインターネットですら、世界規模では鼻くそ同然の業容や商圏しかもたない「小規模」 のプラットフォーム事業者だ。

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