Scribble at 2023-06-21 18:44:52 Last modified: 2023-06-21 18:51:09

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マイナンバーにかかる誤情報の紐付けを単に「ヒューマン・エラー」に帰結する事は違和感を感じます。

マイナンバーへ紐付けられた誤情報登録報道に対する所感

かなり以前から、ウェブ制作やオンライン・ビジネスにも生産工学の知見を取り入れた方がいいと言っている。コンピュータを扱うのは、しょせん人間であり、しかもウェブ制作や IT ベンチャーの業務に携わるのは、大半が仕事としてコンピュータを使った経験のない素人だ。僕らのように、ワープロのオペレータを10年くらいやった上でデータの打ち込みとかエクセル・シートへの入力、それからコーディングやプログラミングに携わっているわけでもない、いわば経営者も管理職も新卒もほとんどがアマチュアの業界がウェブ制作や IT だと言っていい。したがって、上記のような提言に学ぶことは多い。もちろん、僕も『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』(中田 亭、2023)のようなタイトルの新刊書ですら、安易にヒューマンエラーを原因として無益な犯人捜しをしたところで、犯人に責任さえとらせれば満足したりせいせいするのだろうけど、それは殆ど解決にならないという意見を示している。

正直、たいていの間違いは「ヒューマンエラー」なんて本当の原因ではない。寧ろ、われわれ凡俗なんて間違いを頻繁におかすものなのだから、フール・プルーフなりフェイル・セーフの原則で仕組みや機構をデザインするのが当然である。間違いのない、それこそ「機械のような」人間がユーザだという前提で設計されたような手順とかシステムは、それこそ機械ですら部品の経年劣化による故障や異常動作で間違った反応を返すことがあるのだから、非現実的どころか機械工学という理論的な観点から言ってもデタラメなのだ。

ところが、日本人というのは特定の人間を責めて自殺させたり刑務所に送り込めなくて鬱屈をため込んだままの場合、システムやルールや制度などが原因だとされても、今度は意味不明な抽象観念を作り出して議論や考察や調査をやめてしまおうとする。やれ伝統が悪い、老害だ、風土のせいだ、背負った業による、はては前世でやったことの報いだとか抜かす馬鹿もいる。とにかく、凡人に限って観念をもてあそぶのが大好きで、それこそ僕らのような本物の哲学者が「哲学者先生」と呼んでもいいくらいの連中である。そして、特定の人間に責任をとらせて(昔ならハラキリである)せいせいするとか、その逆に「戦争が悪い」だの「人が逃れられないなんとか」みたいな文学表現に逃げ込むとか、いろいろな処世術をもっているので、注意しないといけない。

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