Scribble at 2023-09-04 12:06:55 Last modified: 2023-09-06 07:29:36

添付画像

Bulstrode says that components from the destroyed factory were then shipped to Portsmouth, with the implication being that Cort then reverse-engineered the process, and patented the secrets under his own name.

Stories are bad for your intelligence

イングランドの産業革命時代に鉄鋼技術で大きな業績を残したとされる Cort なる人物について、或る歴史学者が Cort はジャマイカで発明されていた技術を盗んだだけだとする論文を出して大きな話題となったらしい。しかし、その後の検証によって根拠が薄弱であるという批評が続き、「歴史」として語られた経緯の結びつきが一つずつ解きほぐされては、他の歴史学者によって木っ端微塵に砕かれていったという。

この事例を紹介しているブログ記事の著者は、そもそも最初に歴史学者がどうしてこんなストーリーを描くに至ったのかという点と、こんな根拠の乏しい議論がレビューをパスしたのはなぜかという点を取り上げているが、後者はとりあえずどうでもいい。問題はやはり前者にあって、どうやらブログの著者はこの歴史学者には「先進国の発明は黒人文化を搾取して成り立ったものだ」という PC 的で左翼的な下心があったのではないかと言いたいらしい。つまり、何かを調べたり考えるよりも先に、歴史学者の一部には「西洋あるいは北半球の繁栄や優越を DIS りたい」という岩波書店的に不健全な欲求があって、われわれ保守の人間ならおよそ考えないようなストーリーが最初から出来上がっており、彼らにとっての歴史研究とは、そうした壮大な陰謀というジグソーパズルのピースを集めることなのだ。あるいは、左翼という言葉が気に入らないなら、「勧善懲悪」と言ってもいい。黒人を搾取した側は絶対の悪であり、搾取された黒人は完全な善であるという思い込みがあり、それを歴史的に証明することが歴史学だと思っている人たちがいるらしい。

こういうのは、いま日本にいる在日朝鮮人がすべて強制連行されてきた被害者の子孫だとか、いま日本にいる在日朝鮮人は全て出稼ぎで日本へやってきた移民の子孫にすぎないとか、どちらにしても愚かな議論と同じであり、最初に「日本(人)は悪い」とか「日本(人)は悪くない」という巨大な動機やストーリーがあって、それを補強するために些末な記録や証言や意見をつなぎ合わせて、それぞれが勝手に出来損ないのジグソーパズルを作っているだけであろう。

保守のわれわれは、そもそも特定の民族とか国とか人種に善悪を固定するなどという愚かな仮定は置かない。そもそも善悪こそ民族や時代どころか地域や性別など色々な条件によって変わるものだからであり、そういう人の社会の本質をこそ守るのが「保守」という概念の本質だと考える。よって、日本人が無条件に良いとか悪いとか、韓国人が無条件に良いとか悪いとか、そんな馬鹿な話はわれわれ保守の人間においては論外である。よって、そういう動機にもとづく歴史の研究とか調査とか考察も論外だ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook