Scribble at 2026-07-25 11:34:16 Last modified: 2026-07-25 11:36:48
数学の議論や解説にしても、おおよそ「分かりやすい」と評判の本は、要するに数学の概念や定理をかみ砕いて説明するものだ。ただし、そのかみ砕き方が適切であるかどうかという数学教育的な考察というものが真面目に、そして数学の広範な分野で体系的に行われたことはないので、結局は予備校の講師や通俗本の著者らが場当たり的にやっているだけのことなのだ。しかるに、かみ砕くところはかみ砕くが、著者らが気づかないところではスルーしてしまうという雑な記述になってしまう。
たとえば、偏微分を解説することを考えてみよう。偏微分というのは、数学の教科書に出てくると急に何か難しい式を扱っているかのような錯覚を起こす人もいるけれど、丁寧に説明すれば大して難しいものではない。これは、特定の変数を一つ決めて、その変数だけの変化の割合(微分するというのは、変化の割合である微分係数からなる導関数を割り出す操作のことだ)を表している。よって、2変数の関数として ^^x^2 + y^2^^ があるとき、^^x^^ の変化だけに着目するなら、^^y^^ は定数として扱う。すると、この関数は ^^x^2 + C^^(C は定数)の扱いとなるから、これを微分して導関数を導けば、^^2x^^ となる。一般的に「分かりやすい」と言われるような本の説明は、このていどであろう。しかしながら、これだけでは不十分だと思う。なぜなら、多くの人は偏微分どころか微分すら理解していないことがあるので、導関数を求めるという操作において定数が排除されることすら不思議に思ったり、理由の分からないまま機械的に削除していたりするからだ。そこで、そもそも微分というものが ^^x^^ の変化に対する ^^y^^ の変化という割合(微分係数)を求めるための導関数を求めることだという基本を改めて説明し、定数の微分係数は常に0であるがゆえに関係がないというポイントを強調しておく必要がある。よって、^^x^2 + C^^ の導関数は ^^2x + 0^^ と一貫して表記しても数学的には正しいわけである。