Scribble at 2023-04-28 12:42:05 Last modified: 2023-04-28 20:24:55
シュナイアーの本に限らず、情報セキュリティの本は大して売れてないだろう。いや、それ以前に何を気にして知らないふりをしてるのか事情は分からないが、こんなもん調べたり聞くまでもなく、少し考えたら道理として分かるはずのことだと思うんだよね。つまり、翻訳権の買い取りや翻訳のコストが、予想された売り上げに対して高すぎる(利益が残らないか赤字になる可能性もある)から手を付けないというわけだろうけど、翻訳権や翻訳のコストは一定だから、これはつまり売り上げが見込めない(売れたら翻訳権や翻訳のコストを増やさずに増刷して収益は単純に増えるわけだし)のはなぜかという話と同じだ。すると、このような分野の本を読む客層を予想すれば分かることだが、日本で情報セキュリティの訳書は、シュナイアーだろうと誰の本だろうと売れないのである。なぜなら、情報セキュリティの本を読む人の大半は、そもそも英語で読めるからだ。加えて、情報セキュリティのプロというものは原則として英語圏の情報をリソースの基準にしているのが当たり前であって、日本の情報を基準にするのは、アクセンチュアとか IBM とかがクルクルパーの東京都庁とか総務省とかの役人(どれほど優秀でも、しょせんは東大の学卒どまり)を相手に数億円単位の巨大案件で企画書を書く時だけなのだ。