Scribble at 2023-11-03 09:10:27 Last modified: unmodified

添付画像

Android で使っていた Poweramp という秀逸なメディア・プレイヤーが iPhone では使えないため、代わりになるアプリケーションを探している。いまのところは、やや使い勝手に癖はあるけれど、CloudBeats Music Player を使っている。

他にも、よく売れているプレイヤーだとか有名なものはあるのだろうけれど、なにせ9月から iPhone ユーザとなったので事情が分からないし、はっきり言って興味もなかった。国際的なスケールでは Android のスマートフォンが圧倒しているからだ(日本では7:3だがグローバルでは逆に3:7である)。もちろん、表面的なブランディングだけで簡単に(昔から)騙される、小銭はもってるらしいが愚かなマーケティング業界のオモチャどもの生態も少しは知っておく必要があるし、Apple 製品にはそれなりの性能やプレゼンテーションでの利点もある。でも、プライベートでは長らく Android のスマートフォンを使っていて、業務用に iPhone SE 2nd は貸与されていたから iPhone を全く使わなかったわけでもないが、業務で必要な機能やアプリケーションしか使ってこなかったので、プライベートで使う実情は知らなかったわけである。

さて、そうして Android から iPhone に換えて使っていると、これまで何台か色々なメーカーの機種を替えながら使ってきた Android のスマートフォンに比べて、まず内蔵のスピーカーが素晴らしいのは十分に理解しているし、通話していても相手の声がクリアに聞こえるのも助かる。でも、アプリケーションの操作性は1ヶ月以上が経過するのに、どうにも慣れない。その典型が、このメディア・プレイヤーだ。

CloudBeats の他にも、上記のように有名とされるプレイヤーを幾つか試してみたけれど、はっきり言ってどれも操作性は酷い。というか、Poweramp と違いすぎて困惑させられることが多々あるので、これはアプリケーションの問題というよりも、iOS の UI 設計が「ファイルのパスやディレクトリ構造をユーザの思考から削除する」という、マイクロソフトを上回るお節介というか洗脳術のせいで、アプリケーションの UX 設計に最初から制限があるのだろう。なので、個々のプレイヤーについて過剰な期待をしてもしょうがないし、現に CloudBeats でも似たような操作性の問題は感じる。

しかし、上記の三つを試してみると、そういう SDK レベルといっていい制約があるだろうという点を差し引いても、やはり個々に問題があると思う。

まず OPlayer は、わざわざレビューまで書いてしまったほどだが、MP3 ファイルをどうやって再生すればいいのかがまず分からない。iPhone の内部だとか、あるいは USB Type-C で接続している外部の microSD カードとかを選ぶ、Windows で言えばエクスプローラ、macOS で言えば Finder を起動した直後に左のツリー・ビューで列挙されるドライブや仮想フォルダの一覧だ。これが iPhone では巧妙に隠されたり、紛らわしい操作でしかアクセスできないようになっていて、とにかくユーザにファイルのパスとかディレクトリ構造というものを意識させないようにしてある。確かに、そういうものを意識させると jailbreak しようとする子供が増えるという懸念があるのかもしれないが、どのみちそういう動機をもつような人々は自分で調べて実行するのだ。関心がない人に見せても、それで関心をもつようになるというのは、或る意味では「啓蒙」という観念を過大評価してきた西洋キリスト教文化圏に生きている人々の、はっきり言って伝統的な錯覚である。情報セキュリティと同じことで、隠しても大して意味はないし、隠さなくても無自覚で無関心な人たちは jailbreak なんてやろうとしない。ともあれ、OPlayer でせっかく MP3 ファイルを見つけてプレイリストに登録しても、そもそも MP3 ファイルを何かの圧縮ファイルとして扱ってしまい、ファイルを選択すると「編集」画面になってしまう。なんなんだよ MP3 ファイルの編集って。タグを編集するわけでもなし、ていうか音楽をさっさと再生しろよ。

次に、Android でも広く使われているメディア・プレイヤーの MX Player を入れてみた。これは、Android 版では使ったことがあるので、操作性は・・・ぜんぜん違う。それに、広告が再生されたりバナーとして表示されるのを待たないとメディアの再生画面に進めないととか、広告の合間に音楽をプレイしているという様子になっていて、なんで OS が替わるだけで操作性がこれほど変わってしまうのか、或る意味では(それなりに皮肉な調子で)興味深いとか面白いと言えるほどの違いがある。とにかく、僕の感覚では、これはメディア・プレイヤーではない。広告プレイヤーのおまけに音楽を聞けるアプリケーションだ。

そして最後に、ONKYO という老舗の音響機器を製造しているメーカーがリリースしているという、ハイレゾ対応のプレイヤーだが、これはもう起動した瞬間に「これはだめだ」と思った。起動した直後の画面を見れば小学生でも気づくことだが、タブに "iPod" などと表記されている。なんですか、それ? iPod って、確か、製造・販売が終了となった再生機器ですよね。あれは確か最初から音楽ファイルを再生できるように作ってあったはずで、こういう再生用のアプリケーションなんてインストールする必要はなかったと思うのだけれど、なんで UI に "iPod" って表記されているのだろう・・・。また、他のアプリケーションと同じで、ローカルのファイル、USB 接続した外部ストレージのファイル、OneCloud のファイルといった、色々な場所なりパスにあるファイルをクリアに見通せる画面が全く用意されていない。これでは迷路だ。

ということで、どれも CloudBeats Media Player を置き換えるようなものではない。あと、これらのアプリケーションに共通している問題として、Apple の UI デザインの SDK なんかがある筈なのに、どうしてこうもアプリケーションごとに勝手なレイブル(label)やらメニューの名称やら独自の呼称を使うのか、全く理解できない。それぞれが自分たちに都合のいい言葉遣いをするコミュニティみたいなものに取り込もうという思惑なのかもしれないが、UX デザインにおいては逆効果だと思う。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook