2018年02月23日に初出の投稿

Last modified: 2018-02-23

本日は情報セキュリティ要件を詰める手法として attack trees を調べ直している。その関連資料に H. G. ウェルズの Future in America からの引用があるのだけれど、ウェルズの著作は意外と翻訳されておらず、もっぱら SF と総覧的な世界史の本があるだけだ。そして、彼の思想とかアイデアを議論しているのは、翻訳されていない本を幾らか読んでいる知的密輸業者だけというわけである。それゆえ、ウェルズについては文学だろうと SF 評論だろうと未来学だろうと(その手の原著を読める人々のオタク話しか積み上がらないので)ロクな業績がなく、その代わりに、彼の予言じみた言葉を曲解してはあれこれとブログ記事に書く素人やイカれた陰謀論者が山のようにいるというわけだ。

かようにして、学術研究の基礎的な素養や修練なく気軽に思想なり天下国家を論じようとする手合いが、自費出版やブログ記事でガラクタを世の中へばら撒かないように前もって一定の牽制をかけたり、あるいは第三者の読み手が内容を検証できるようにする(もちろん専門家の業績の方が必ず正しいとは限らない)ためには、やはりどう考えてもプロパーがきちんと業績を積み上げることが望ましい。ウェルズには国内で「協会」なるものすらあるらしいが、彼の著作がパブリックドメインとなっている今日、いまや秘儀のように未翻訳のリソースを使ってあれこれとオタク話を続けていれば専門家を気取れるような時代は過ぎ去っているのであって、ファンなり専門家を自認したいのであれば、彼のエッセイや未翻訳の作品を青空文庫にでも訳出することが望まれる。

というか、さっきから「ウェルズ協会」で検索しても全く手がかりがないな。

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