Scribble at 2021-12-09 14:40:09 Last modified: 2021-12-09 14:41:22
僕が入山章英氏のような、日本の企業人が昔から抱くコンプレックスに付け込む〈本場アメリカ仕込み〉を自称する著作の多くを信用しないのは、こういう若手が書くサーベイ論文に近い俯瞰的な著作の大半は、実際のところ「よくできました」という判子を押す程度の労作ではあっても、学術的に正確でもなければ正当でもなく、また本当は十分に exhaustive な調査を経たものでもないからだ。
それに、例えば入山氏の『世界標準の経営理論』という大部の通俗書で分かる通り、この本は「フレームワーク」と呼ばれる雑な議論を経営学とは何の関係もないと一刀両断にしている点はいいが、その裏でこっそりと『ティール組織』のようなカルトまがいのデタラメな組織論を、一章を使って丁寧に解説している。かように、分厚い本を書いているからものを知っているなどとは限らないわけで、逆に是非を判断したり取捨選択できないただの乱読家が、読んだ順番に書いたメモを出版しただけという可能性がある。