Scribble at 2024-04-22 09:11:59 Last modified: 2024-04-22 09:41:39

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In a bid to claw back $2.15 billion, the struggling pharmaceutical giant Bayer CEO is doing away with middle managers and 99% of the company’s 1,362-page corporate handbook, allowing nearly 100,000 employees to self-manage.

Bayer is getting rid of bosses and asking staff to ‘self-organize’ (fortune.com)

Hacker News でリンクされているアーカイブされた記事を読んだだけなのだが、どうも短絡的で事情が理解しかねる。いわば、究極の「フラット経営」と言ってもいいような施策だが、こんなことを短期間にやれるのかという疑問があるし、効果的だとも思えない。単純に管理職の固定費を削ればいいという、中学生が見ても稚拙としか感想を言わないであろう判断を、これほどの巨大企業の経営陣が行ったとすると、どういう裏書きがあったのだろうか。たとえば管理上の判断や決裁のプロセスを AI などに置き換える仕組みが実用化されているとか。

これまで、とにかく大企業の「官僚化」の弊害はたびたび指摘され批評されてきたし、多くの企業が衰退する元凶として色々なビジネス本で糾弾されてきたのだが、実はどうしてそういうことが起きたり是正できないのかという厳密で正確な分析や議論はほとんど無い。いつものことだが、経営学者なんて倒産したり大成功した目立つ企業のウンコを眺めては、ケツの穴に指を突っ込んであれこれ言ってるだけの素人医者どもであり、実のところ経営者にとって本当に役に立つことなど何も言えない。たかだか、仲良しの経営者とキャバクラで喋ったような成功談やら失敗談を二日酔い同然の頭で思い出して創作しているだけの、三流ルポライターだと言っても良かろう。よって、そうしたガラクタの理屈に学ぶことはほとんど無い。

そもそも、僕のマネージャとしての経験から言っても、そうした「官僚化」に該当する現象は、実は事業者の規模なんて関係ない。個人事業者ですら起こり得ることなのだ。そして、それゆえにこそ事業者の経営にとって避け難く、深刻な影響を生じるのである。つまり、官僚化というものは上司と部下だとか、あるいはバック・オフィス部門とプロフィット部門だとか、経営陣と従業員だとか、そういう上下関係や人間関係が必要条件になっているわけではない。ここを、大多数の経営者や経営コンサルや経営学者は誤解しているがゆえに、いつまでたっても効果的でまともな分析や解決策を提案できないのだと思う。組織や人間関係が原因だと、それは特定することが難しくなり、簡単には改善できず、そして時間が経つと配置転換や退職などという理由で状況が変わってしまいやすく、どういう「対策」と称することをやっても、効果が分かりにくい。だが、官僚化とは(最近の言い方をすると)マインド・セットの問題だと言える。そして、そこに大きな影響を与えるのが、個人の読書経験(要するに、クズみたいなビジネス本や自己啓発本にイカれるとか)だったり、過去の成功体験(たとえば部活でたまたま結果が伴っただけの、因果関係がはっきりしない精神論)を条件や状況を無視して他の状況や現在の状況にも短絡的に当てはめてしまうことだったりする。こういうことは、もちろん相手がなくても起きることなので、controllability というアイデアやルールあるいは習慣を過大評価したり短絡的に異なる状況に押し当てようとすると、個人事業主にも官僚化は起きるのだ。

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