Scribble at 2021-04-15 13:00:03 Last modified: 2021-04-15 16:55:13

さきほど、現行のステージング・サーバに入れて運用してきた NSD を新しいクラウドのサーバに移設した。逆引きの権限を委譲してもらっている USEN ICT Solutions での設定変更は来週となっているが、既に新しい方で nsd を動かしているため、特に問題なく切り替えは終わると思う。これで、ステージング・サーバのサービスを全て停止し、SAKURA インターネットの専有サーバは解約・停止して少しは節約できるだろう。まぁ、移設先も SAKURA のクラウドなのだが。

それにしても、僕は意外なのだけれど SAKURA インターネットはトラブルが多いらしい。幾つかのクライアントでは、過去にトラブルがあったというので、サイトの公開プラットフォームとして「さくら以外でサーバを立ててくれ」というオーダーがあったりする。もちろん、SAKURA のサービスに一定の特殊な手続きや利用上の注意があることは、だいたいプロならみんな知ってる。FollowSymLinks が使えないとか SAKURA 独特のディレクティブを使う必要があるとか、DNS の TTL がやたらと長いとか(会員ページでもセッションが1年以上も有効という危険な状態だったので、TFA が導入されたらすぐに使わせてもらった) 、あれこれとノウハウはあるわけだが、そんなのはどこのサービスでも同じようなものだし、GCP や AWS や Azure なんて自分たちでわかりにくいサービスを作っておきながら、馴れているかどうかの資格を設けるとか、マッチポンプの典型みたいなことをしているではないか。

これは、僕が15年以上に渡って SAKURA インターネットのサービスを使ってきているから馴れているだけだという問題ではないと思う。恐らく、いかに多くの人たちが Windows Server 使いについては言うに及ばず、UNIX/Linux 使いであっても、自分の環境が特殊かもしれないという反省をせずに IaaS を利用しているかという話だろうと思う。インフラの事故はどこでも起きるし、サポート体制として SAKURA インターネットが特別に他の事業者よりも劣っているとは思えない。要は出来合いのプラットフォームには特定の動作要件というものがあるという、当たり前のことを不問にしているだけではないのか。僕が、Docker やら Kubernetes やら WAMP のようなものから CI サービスに至る、実装環境の構築ツールにばかり慣れる人々にエンジニアとして違和感をおぼえるのは、何もオッサンの一人として「昔は豊津のデータセンターに筐体を持ち込んで、ウェブサーバを徹夜でセットアップしたもんだ」みたいな、本当のところどうでもいい〈英雄譚〉を語りたいがためではない。

〈環境〉とは何かという根本的なところへの理解がおろそかになると、ready-made な作業環境が当たり前となる。そして、そこで起きたトラブルへの場当たり的なバッドノウハウばかりを追い求めて、オンラインにしか「最新の」情報はないなどと言っては読書などでの基本的な勉強をしなくなり、結局は応用力のないテンプレ野郎がテンプレのように量産されるだけとなるからだ。そして、残念ながら東アジアの辺境地帯では、こういうテンプレ野郎に限って技術ブログとか Qiita の記事とかを書きまくる傾向にある(まさに、悪貨は良貨を駆逐する)。こういうことは、だいたいにおいてどこの国でもどこの時代でも悪循環が起きやすい。バカは馬鹿なことを馬鹿げたやり方でしか伝えられないからだ。そういう、クズみたいな「シェア」が何億件と積み重なっても、結局は何の役にも立たないのである。実際、アメリカの Yahoo! は巨大な Q&A サービスを終了するそうだが、あんなものを20年近くも続けてきた結果、アメリカでは(人種差別は言うに及ばず、少なくとも IT リテラシーについて)何が改善されたというのか。

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