Scribble at 2026-08-28 20:15:56 Last modified: unmodified

弊社では地方の個人事業主を登録ユーザとして、ブランディングを支援するオンライン・サービスを利用してもらっている。すると、特に SEO 業者などが登録ユーザに「あのサービスを使っていても意味がない」などというトークで営業してくる場合があるらしい。もちろん、ビジネスというものは競合に対する営業妨害なんて珍しいことではなく、一通り営業部署では教えるが、後はあくまでも「個人の判断で」という体裁がまかり通っているものだ。ちなみに、弊社はかつてのベンチマーク対象であった AllAbout について、営業プロトコルで DIS っているのを見かけたことはない。

もちろんだが、オンライン・サービスの経営側にいる人間であれば、SEO や昨今の AIO こそ「販促」の名にすら値しない遊びでしかないのは自明だろう。なぜなら、こういうサービスは単にアクセスを集めるだけであって、実際にはアクセス先のサイトで提供される事業や商品やサービスでの受注と殆ど関係がないからである。SEO であろうと AIO であろうと、人が自分の興味やニーズと「意味論的に関連性が高い」というだけのページへアクセスしたくらいでは、いまや何の意味もないのだ。逆に、20年くらい前に SEO が有効だったのは、それこそ関連性があればそれでいいという探し方をしていた人が多く、またフィッシングも情報商材も普及してはいなかったし、それだけウェブのコンテンツというものに対するユーザの判断基準が甘かったのである。

SEO や AIO の業者やサービスは、とりあえずゴミなのでどうでもよい。問題は、僕らの提供しているようなサービスを利用する人々の多くが、弊社のサービスや SEO 業者を利用しようとしまいと、根本的に個人事業主として勘違いをしていると思える事実だ。それは、個人事業主というものは自分がもつ資格や技能だけで行う事業ではないという明白な事実を理解していないということである。多くの個人事業主は、実質的に家族を事実上の従業員として使っているから自覚がないのであろうが、個人事業主は本人が単独で「企業」としての法的な責任を負って実務を担う。したがって、簡単に言えばシステム・エンジニアやデザイナーであろうと、本人が営業も、財務も、経理も、庶務も、法務も、そして経営もやらなくてはいけないはずである。その責任を負うからこそ、個人として自由に自分の意志で事業活動ができるようになっているのだ。しかし、たいていの個人事業主は、とりわけ大企業や上場企業からのドロップ・アウトや定年退職組みには典型だが、まるで電通や大林組や松下電器で働いていた頃のコピーみたいな働き方で事業を営んでいけるかのように錯覚しており、クリエーティブ・スキルや技術力だけで他に何も身に着ける必要がないかのように考えていたりする。なので、大企業を辞めた人々は個人事業主になっても、実務の多くを他人(実質的には家族)へ頼ることが当然のようになっていたりする。

だが、言わせてもらえば個人事業主の 99 % は、個人事業主を名乗る技能も知識も経験も欠落している不適格者だと思う。個人事業、というよりも企業活動というものを舐めているのだ。しかし、個人事業主を相手にするサービス事業というのは、こういう前提があると知りながらも対応することが正道となる。まさか、凡庸あるいは無能な人々に、事業を始めてしまった後からものを教え諭しても遅いからだ。もちろんだが、何もこういう人々を冷笑したり侮蔑したいわけではない。ミツバチが飛んでいるだけで怒ったり冷笑したり軽蔑する人なんていないであろう。それと同じことだ。凡人が凡庸な生き方をするのは、水が川を流れるようなことと同じであって、何の不思議もない。確かに、こういう表現こそが明白な皮肉であると見做す人もいるだろうが、僕に他意はない。人の認知プロセスや行動というものは、どれほど平凡であろうと、宇宙を支配する自然法則に比べれば高度に複雑であって、その事実を知る哲学者がヒトの凡庸さを蔑視したり嘲笑できるものではあるまい。

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