Scribble at 2023-12-24 08:12:49 Last modified: 2023-12-24 15:58:24

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昨今、ITを利用してさまざまなデータを集めることができます。しかし、データを漠然と見ていても、そこに隠された本質にたどりつくことは簡単ではありません。これを防ぐ1つの方法がデータの「可視化」です。可視化することで「思い込み」にとらわれていたことに気が付いたり、意外な事実を発見できたりすることがあります。ここでは、『ビジュアルでわかる日本』の著者である、「にゃんこそば」さんが、「コンビニの勢力」を可視化してみました。

「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は?

「よくできました」とは言っても、それは未熟な人に対する教育的な配慮というものであって、まともな大人の業績や成果として評価しているわけではないという建前というものがあるんだよね。いつごろからか、こういう評価の基準がどこかへ消し飛んでしまい、建前を真剣な(それどころか学術的な)評価であるかのようにマスコミですら錯覚するような人が増えてきているかのようだ。でも、実際にはそうじゃなくて、こういう卑劣な、言い方を換えれば独立独歩や空気が読めない人を装って建前など知らぬというフリをして、イージーな基準でものごとを評価してしまう人が多くなった。

その目的は、簡単に言えば生産性である。手っ取り早く吐き出せる記事を立派な成果だと言い張ることが許されていて、間違っていても著者を切り捨てたり、あるいはテヘペロで済まされると思っている連中が、出版・マスコミの業界を席巻し始めていて、もともと(出版業界には博士号を持ってる人はちらほらいるが)マスコミなんて無知無教養な連中の集まりだし、本質的には新聞記者や雑誌の編集者なんて情報ブローカーと大差ないわけだし、劣化し始めたらこうなることは予想できたのだが、いまやコタツ記事と生成 AI と RPA とウェブ・スクレイピングとクラウド・ワーカーといった手抜きの道具がたくさん揃った。これに加えて、読む側も東大やハーヴァードを出ていようと基本的なメディア・リテラシーがない暗記お坊っちゃんやディベートお嬢ちゃんという未熟な人間の集団なので、バカが未熟者を騙すという幸運なライフサイクルなりエコ・システムが成立している。僕がこの国を「文化的後進国」と呼んでいるのは、基本的にこういう理由がある(僕は日本なんていう些末な単位でものを考えている保守ではなく、地理的にも歴史的にも最大のスケールで考える、いわば哲学的な保守なので、この国が愚劣な文化を維持して衰退しようと知ったことではない。それこそ自己責任というものだ)。

というわけで、上記のような調べれば分かるようなことをせっせと統計にまとめて、どこの国の凡人も大好きなビジュアル化とか「みえる化」とかインフォグラフィクスとして美麗に描けば、この国では何でもかんでも成果になるし、この人物のように出版までしてもらえる。でも、哲学者がわざわざ指摘してやるまでもなく、まともなレベルの素養(これは学歴という意味ではない)をもっている人であれば、こんな記事が本質的に高校生や主婦やクラウド・ワーカーが毎日の暇つぶしや小遣い稼ぎとして量産しているコタツ記事でしかないと即座に分かる筈だ。そして、この手のレベルの「調べ物」を、昨今のマスコミやメディアは何らかの立派な成果として自分たちのコンテンツに数え上げたり、こういう記事やきれいなグラフィクスを描いている人々を「アナリスト」だ「評論家」だと囃し立てる。

でも、これは既にわずか5年ほど前に僕らが通ってきた道の筈だ。僕らはつい5年前に、「データ・サイエンティスト」なる新しい専門職を思いついて、彼らが経営判断やマーケティング調査のプロであるかのように祭り上げ、地方の三流大学はこぞって統計学を教えるていどの学科を「データ・サイエンス学科」などと改称した。でも、実は専門の部署を R&D の中に作った大企業ですら、データ・サイエンスの成果なんて殆ど出ていないのである。たとえば、誰でも応用が期待されるロジスティクスの分野でも、大きな成果を上げたのはデータ・サイエンスの力によるものではなく、実はドライバーの経験談を地道に集めた人々のレポートだったりしたのである。そして、こんなことは統計学や因子分析などのまともな素養を持っていれば誰でも分かることなのだ。なぜなら、或る分野の専門的な知識を持つということは、すなわちその分野の限界や原則を正確に理解しているということでもあるからだ。その分野の知識や道具に何ができるかという可能性も知っているが、逆に何ができないかも正確に知っているのが専門家なのである。

「データから分かる」とか「ビジュアルでわかる」といった、幼稚園児に飴玉をしゃぶらせるような「わかりやすい」タイトルの本がたくさん出ているけれど、そんなものは自分で調べたら分かるようなことを書いているにすぎない。代わりに調べてくれるとは言っても、いまやそれだけがありがたいなら、既に ChatGPT が幾らでも調べてくれる(試しに、全国のコンビニの件数やブランド別の件数を質問してみるとよい。直に地図は出してくれないとしても、この著者の他にも同じ調べ物をして地図をブログ記事に公開している人々がいくらでもみつかる。それが、こういう記事が本質的にコタツ記事である証拠だ)。

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