Scribble at 2021-12-09 10:13:52 Last modified: 2021-12-09 10:15:19

秘密分散法と言えばアディ・シャミアの名前ばかり出てくるのだが、実際にはシャミアの論文を読めば分かるように、彼が論文を公表した1979年に "Safeguarding cryptographic keys" Proceedings of the National Computer Conference, Vol.48 (1979), pp.313–317 としてジョージ・ブレイキー(George Robert (Bob) Blakley Jr.)がシャミアに先行する論文を出しており、しかもシャミアの論文ではブレイキーの論文を参照しているのだから、明らかにシャミアはブレイキーのアイデアを参考に「シャミア式の」秘密分散法を考案したと言える。よって、秘密分散という概念をシャミアの考案だなどと解説しているのはデタラメもいいところであって、正確には「シャミア式の秘密分散法を考案したのはシャミアである」という当たり前の言い方をしなくてはいけない。

ただ、市井にシャミアの業績だけが圧倒的に普及した理由は、やはり "open" であったかどうかの違いによると思うので、これは教訓になる。つまり、ブレイキーの論文は2021年の現在でも、ほぼ無料で読む方法がない(CiteSeerX はもとより、海賊版の PDF すら出回っていない)からだ。これでは内容を気軽に検証しようがない。いくら IEEE のサイトで$19で手に入るとは言え、たかが興味本位で読むだけでも2,000円を払う学生が先進国にすらどれだけいるというのか。

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