Scribble at 2023-05-28 09:47:32 Last modified: 2023-05-28 13:55:40

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Professional password generator and password manager with full Unicode support, formerly known as PWGen for Windows. 100% free and open source.

Password Tech

パスフレーズやパスワードを生成するプログラムとして、長らく使ってきたのが Password Tech だ。もともとは "PWGen" という名称だったが、なんの事情なのかいまの名前に変更された。これも長く使ってきたソフトウェアであるから、カンパの意図で donation してもいいのだけれど、lifetime donation が $20 とやや高額であるのに加えて、送金方法が PayPal しかないのが致命的だ。何度も言っているように、PayPal は日本の金融機関でもないのに個人証明としてマイナンバーを要求する違法業者である(PayPal はマイナンバーを或る個人の正しい個人番号であるかどうか、参照するべきデータベースを持っていたりアクセスできるわけがないからだ)。こういう違法行為を堂々とやっているような決済業者を、企業の chief privacy officer としてプライバシーマークの運用を担っている者が利用するなんて矛盾したことはできかねる。まるで警察官がプライベートで麻薬を購入しているようなものだ(これは矛盾したことをやっていると言いたいだけであり、CPO は企業における「プライバシー警察」ではない)。

それはそうと、パスワードという話題についても髭剃りと同様に専用のサブ・コンテンツを整備したいという意欲はある。いや、実は10年くらい前に verystrong.pw というドメインまで取っていた段階にあったのだが、ちょうど情報セキュリティについて一般向けの解説を書くなんてやめてしまおうと意気消沈したこともあって、いったんはやめてしまったのである(ただ、詳しくは書かないが電通案件で1度だけこのドメインを仕事に使ったことはある)。そして同じ頃に、identifiable.info というパーソナル・データや PII についてのサイトは運営していたのだが、同じ理由で同時にドメインの利用をやめてしまった。

簡単に理由を言うなら、国内の情報セキュリティや個人情報にかかわる学術研究者や著名な技術者らの立ち上げた「情報法制学会」という団体が、実質的には LINE 株式会社の出資した紐付きのグループであったことに失望したからである(ネトウヨなど、人によっては韓国の影響といった陰謀論まで語る人もいたわけである)。もちろん、大人の事情とやらで業界を巻き込んで牽制関係を維持するというスタンスにも選択の余地はあるが、国内でプライバシー(つまりは憲法学)や個人情報保護法制や情報セキュリティに関わる主だった研究者や技術者や物書きが集まっているとなれば、その学会そのものを牽制するような他のグループをつくることは学会内の政治という点では非常に難しくなり、僕は権威主義者ではあるが「悪い権威」になってしまうと思った。崎村さんの OpenID Foundation とかが alternative になりえる可能性は考えたけれど、こちらは既に国際的なスケールの団体として規格をつくる活動に特化しており、いかに理事長の崎村さん個人がプライバシーに関心を持っていても、それだけのことで東アジアの辺境国家で設立された団体を牽制する意義は少ない。実際、グローバル・スケールでプライバシーや identity を議論している研究者の著作に、日本人の業績が参照される事例は殆ど1例もないと言っていい。どれほどプライバシーマークだ、マイナンバー法だとやっていようと、国際的なスケールでは「英語で読めるやつが適当に訳して、勝手にやってろ」のレベルなのである。

なので、最初から英語で読めるレベルの実務家である、われわれのような chief privacy officer は、正直言うと JIS Q 15001 なんてレベルの規格はどうでもいいのである。GDPR をベースに社内規程を作って運用していればプライバシーマークの監査にも耐えられる筈だからだ。実際、電通を始めとする多くの大企業と締結している個人情報の取扱いに関する委託契約などでは、既に GDPR を加味した国際的なスケールでのデータ管理が必須になっているわけで、おそらくプライバシーマークの審査員に、そういうレベルの監査なんて実はできないだろう。もう、国内の事業者も(僕らのような中小零細ですら、僕のようなレベルの実務家がいる限り)、そういうレベルで情報を扱っているのである。

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