Scribble at 2023-12-04 12:02:42 Last modified: 2023-12-04 18:53:09

添付画像

手持ちの、あるいはウェブ・ページなどで目にする画像が「良い絵や写真だ」と感じるには、もちろん幾つかの条件があるだろう。描き方や発色あるいは緻密さなど幾つか考えられるが、それらの幾つかは必要不可欠であるとも限らない場合がある。よく言われるように、ドラクエのイラストは FF のイラストに比べればシンプルで色数も少ないが、だからといって「悪い絵」だと言う人は殆どいない。両者はゲームやストーリーや人物設定などに最適化された、それぞれの要件を満たすような描き方のイラストであるから、どちらが良いとか悪いという客観的に比較できるような基準はないというのが妥当な見方であろう(もちろん、好き嫌いはあると思うが)。

そして、画質全般についても、或るていどは似たようなことが言える。つまり、サイズの大きな画像で描かれているから良いイラストであるとは単純に言えないし、サイズが小さくても最低限の見栄えを担保できていれば、それ以上の高精細なイラストは大して強いインパクトを感じないというわけである。いちばん簡単な事例で言えば、1ピクセルの太さの直線を考えたら良い。これを 10x10 ピクセルの画像で表示していようと、あるいは 1,000x1,000 ピクセルの高精細な画像で表示していようと、1ピクセルの太さの直線の見え方は同じであって、どちらが美しいなどと比較するのは好みの問題だとか目的によるどころか無意味であろう。

しかしながら、画像をデバイスで扱う場合の画面表示という観点で言えば、もちろん高精細の画像は有利である。それは、画面の解像度よりも高い解像度で制作された画像であれば、画像を画面のサイズいっぱいに表示しても画質が劣化しないからである。先に1ピクセルの太さの直線を比較した際には、どちらも出力した画像のままで眺めたときにどう見えるかという比較をしたわけだが、デバイスで画像を表示するときには、ウェブサイトのキー・ビジュアルであろうと、あるいは単に閲覧ソフトで画像をそのまま表示するのであろうと、画面いっぱいに表示するというケースが多い。すると、デバイスの解像度よりも高い精細な画像は画質がさほど劣化せずに表示出来るのに比べて、デバイスの解像度よりも低い解像度で出力された画像は、画質が明らかに劣化してしまう。これは、当たり前だが前者は画像にちゃんと含まれている情報を間引くだけなのに比べて、後者は存在しない情報を付け足さなくてはならず、どのように情報を差し引けばいいかという推論に比べて、どのように情報を付け足せばいいかという推論の方が難しいからだ(いまあるものから差し引いても、元の画像と比較して差し引き方の是非を調整できるが、その逆はこれまでに無かったものとの比較だから難しい)。

というわけで、たとえば上に添付したイラストは、上下のどちらも 960x536 ピクセルというプロポーション(縦横比)のイラストだが、これらを僕のスマートフォン(AQUOS zero2 だと 2,340x1,080、iPhone 15 だと 2,556x1,179 ピクセル)で表示すると、どちらでも2倍以上に拡大して表示することになって、かなり品質が劣化してしまう。画像の個々の点を全てボカしながら拡大しないといけないからだ。よって、逆に縮小して表示するくらいの高精細な画像としてアップ・スケーリングするなら、4倍ていどの設定にしないといけない。すると、その処理には僕のマシンで(元画像の出力は8秒ていどで済むが)6分くらいかかるので、最初からこんな画像を大量に出力してから良いものを選ぶという手順は、明らかに非効率である。

しかし、画質が下がるからといって常に高精細化した方がいいかというと、それは後からでもやれることだし、ひとまずは効率の良いサイズでたくさんの画像を出して、そのまま比較するために保管しておけるなら大量に溜め込んでおいてもいいだろうとは思う。上の画像は、アップ・スケーリングしないと粗い画質ではあるけれど、イラストとして眺めているていどの用途であれば、さほど美麗とまで感じるような品質である必要もないだろうからだ。

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