Scribble at 2024-04-22 17:41:39 Last modified: unmodified

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グレイディ氏は「作家にとって現代の書籍販売経済のインセンティブは、コストを低く抑え、冊数を多く、そして絶対にAmazonに載せることです」と述べた上で、「このインセンティブが、私たち全員をゴミの洪水に追いやっているのです。本の製造と販売の過程で不便な点や手間がかかる点をすべて見つけ出し、それらの点を悪用するやり方は、本には意味があり、本を書くことは価値のある行為であり、本を読むことで人生が豊かになるという私たちの文化的信念を悪用しています。結果として、本物の本ではなく、誰の役にも立たない内容が詰まった本の形をしたデジタルファイルが残ります」と問題点を語りました。

AmazonにはAIによる「ゴミ本」が溢れているという指摘、どうしてこれほど増えているのか?

当サイトでは昔から Amazon でメモ帳を「書籍」だと称して販売している詐欺師どもを告発しており、もちろん何年も前には Twitter で Amazon.co.jp の公式アカウントに訴えたことすらある。2007年から使っていた @philsci というアカウントを運用していた頃だ。そのときにも確認して対応すると言っていたわけだが、僕には何か目に見えて対応しているようには思えない。そして、その後になって BBC のサイトで、ああしたインチキ本や Wikipedia のコピペ本、あるいはパブリック・ドメインの著作物を劣悪な体裁で売りさばく連中の一部はテロリストやギャングであり、そういうものを自分たちのグループ内部で売り買いしてマネーロンダリングしているという記事を掲載した。しかし、本家の Amazon ではさほど量が多くなかったからか、それほど大きな話題にはならなかった。でも、日本の Amazon.co.jp では相当に深刻な状況となっている。

彼らは一般人を相手に詐欺を目的としてインチキ本を出品しているわけではなく、決済や販売のシステムを使ってマネーロンダリングできればいいのだから、目立つ必要はない。よって、隠れて大量の商品を出品しては、数週間で商品を取り下げることで足がつきにくくなるような販売サイクルを維持できればいいのである。そして、彼らにとって好都合なのが、日本のアマゾンの洋書カテゴリーだ。なぜなら、僕が見たところでは、

(1) もともと英語で読める人の多くは電子書籍を出版社のサイトで購入していることが多いので、アマゾンで書籍を買わない。

(2) 日本の学術研究者は大学の出入り業者から洋書を買うことが多く、自分で(自腹で)アマゾンで買ったりしない。

という二つの理由で、日本のアマゾンの洋書カテゴリーの利用者は非常に少ないからだ。その証拠に、たまに大学院生や研究者が専門書を買うからなのか、相当にニッチな分野のテクニカルな専門書でもランキングのトップに出てきたりする。たぶん、日本でそんな本を買う人は3人もいまいと思うような本が、何日もカテゴリーの上位に表示されていることがある。

つまり、英語の文章が読めようとも、日本人はアマゾンだけに限らず書籍としての洋書を殆ど買わないのである。なのに、他の国のアマゾンと同様に洋書のカテゴリーは運用されているため、これほど詐欺師やテロリストにとって都合がいいサービスはないわけである。

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