Scribble at 2026-01-29 11:52:18 Last modified: 2026-01-29 11:52:46
Python のテキストとしては洋書で最も売れてるのがこれらしい。翻訳も出ていて、日本では他の本が最も売れているようだけど、こちらも翻訳されるくらいだから売れる見込みがあったのだろう。でも、どちらにせよ、僕はあまりお勧めしない。はっきり言って読み辛いからだ。Amazon にリンクしていない理由は、これでお分かりだろう。
まずタイポグラフィとして、特に原書は小見出しが condensed の Futura で、しかもスラント(機械的な斜体)になっていて読み辛い。condensed の書体を選ばなくてはいけないほど、見出しが長くなるというのは、そもそも情報設計として編集が間違っているわけであって、読み辛い書体を採用して対応するなどということは本末転倒も甚だしい。もし必要だとしても、二段にすればいいだけのことだ。
そしてコードのブロックがコードのブロックとして、はっきりと視認できない。罫線を上下に引いているだけだからだ。そして罫線とコードとの padding も少ないので、コード・ブロックというよりも注釈のブロックを見ているような印象を受ける。
他にも、タイプライターの文書じゃあるまいし、段落ごとのインデントが大きすぎて違和感があるし、そのくせ小見出しの直後に始まる段落はインデントがない。これはタイポグラフィというか欧文の版下デザインとして「あり」なのかもしれないが、少なくとも統一感はなくなる。
あと、この No Starch Press という出版社の本に共通するのだが、セリフ系の書体とサンセリフ系の書体との使い分けという方針が、僕には何かおかしいように思える。あと、本のタイトルだけはスラヴ系の書体を使ってみたり、こういう変化は何らかの意味があると思わせるものだが、実は何の意味もないと思う。更に、序文、目次、本文などのパートで行間隔がそれぞれ違っていて、しかも読みやすい調整の仕方でもない。とにかく僕が学んで理解しているタイポグラフィのセンスや知識から言って、学生が版下を作ったような印象があるのだ。コード・ブロックの中で注目させたい行を表すにも、殆ど潰れてしまって数字が読めなくなっている中黒の数字記号を使ってみたり、パワポを覚えたてで色々と飾り立ててみたプレゼン資料を作ってきた新卒の相手をさせられているような気分がする。
内容そのものについても、Python の言語仕様の説明は200ページていどで終わり、あとの6割はケース・スターディが延々と続く。実例として紹介するという目的は分かるが、こんな大量の事例を盛り込まないといけない必要があるとは思えない。しょせんプログラミングとは自分で組み立てる力をつけてナンボの世界であって、数学でも解法ばかり大量に覚えた生徒が東大や京大へ受かるわけでもないのと同じく、原則を応用できないでは自立したプログラマとして仕事はできないし、日曜プログラマとしても満足のゆく趣味にはならないだろう。