Scribble at 2008-03-31 23:57:12 Last modified: 2022-12-28 15:42:05

俺・・・で、何を喋るんだろうか。

僕・・・1月と2月のことを適当に言えばいいわけね。仕事は除いて(笑。

俺・・・さようか。

僕・・・なんか、投げやりな(笑。

俺・・・話す内容は色々あるだろうから言いたいことはあるけどな、仕事のことはあっちでやってくんだろ? プログラミングにしても経営とかのネタにしても。

僕・・・まぁね。

俺・・・じゃあ、ここはまぁーなんつーか、茶飲み話でいーんじゃねーの? へんなこと書いて突っ込まれないようにしてれば、別に仕事とか会社とかは MD というサイトで書こうが書くまいがどーだっていーし(笑。

僕・・・ふむ。では、1月から2月の話題を適当に振ろう。ここで取り上げた話題に限らなくてもいいだろうか?

俺・・・いや、俺自身が書いてるんだから、何をそんな編集人がいるみたいな遠慮してるんだよ(笑。どうだっていいじゃねーの。

僕・・・では、まずサブプライム問題を・・・。

俺・・・そんな。1月の話題じゃねーし(笑。

僕・・・では、MD で1月に書いた話題から引っ張ってみるんだけど・・・Firefox ネタが最初だな。

俺・・・重いな。確かに。アドオンを入れすぎというのは、減らして Web Developer と ScrapBook と Save As Image くらいなんだろ? これでも画面をスクロールするのに数十秒待たないといけないとか、リンクのポインタになかなかフォーカスが当たらないとか、色々と支障はあるな。

僕・・・なんとなく、JavaScript というか、Firefox 内部の UI 回りの動作が重いせいじゃないかと思うんだけど、よくわからないよね。LiteStep 上で動いてるからかもしれないけど、だんだん重くなったから、ちょっとやばくなってきた HDD と関係があるのかも。

俺・・・マシンは関係ないだろうな。会社のマシンでも重いし Firefox って。Firefox はまだいいじゃん。このマシンさ、Windows が起動した直後に Server とか Windows Audio とか、どんどんサービスが落ちていくじゃん。この現象の方が深刻じゃねーの? シェルが立ち上がらないだけじゃなくて、Ctrl+Alt+Del でタスクマネージャすら起動できないときがある。こんなのこそ、放置しておいていーのかね。

僕・・・そろそろなのかね。このマシンは4年目かな? HDD はもっと昔に買ったよね。

俺・・・かもな。そろそろ買い時かもしれんが・・・こういう不具合もマザーボードに起因することがあるらしいから、どうも俺らの使っているマシンはマザーボードのトラブルに悩まされ続けてる気がするぞ。

僕・・・そうだね。パソコン工房で買ったマシンのマザーが1ヶ月でダメになって、ヨドバシで買ってきて中身をごっそり入れ替えたのに、またマザーボードだけおかしかったし(笑。

俺・・・まぁでも、コンピュータなんてそんなもんなんだろ。コンシューマ向けの機械がそんなに耐用年数のことを考えて作られてるとは思えんからな。よく「ソニータイマー」とか言うけど、どこの企業でも安く上げるためには、どこかで耐久性とか品質を下げんとな。

僕・・・Zippo のライターみたいなパソコンはないものかね。

俺・・・いや、あっても30年後の Photoshop とか動くとは思えん(笑。ストレージ用途でも、30年後のファイルなんて何ギガになってることか。

僕・・・そういや、『テラバイト』って小説もあったね・・・ではでは、次の話題は・・・コーポレートサイトの話は無視して・・・(笑。2007年に読んだ本のベスト5とか書いてるけど、これ以外におすすめの本ってあるの?

俺・・・去年読んだ本だろ? まぁプロジェクトマネージメントとか会社法の本は読んだが、この話を始めると会社ネタになるから、話したくない(笑。

僕・・・なるほど(笑。じゃあ、例のサイトでやろう。で、次は・・・そうそう。asteroid#45 ってサイトがなくなった話なんだけど。

俺・・・ああ、あそこはときどき使わせてもらってて、よいサイトだったが、どうしたんだろうな。技術的なプレゼンテーションを期間限定でやってただけなんかな?

僕・・・いや、ドメインが放棄されているようなので、やめたんだろうね。あの手のデザインポータルも、いまでは捨てるほどあるんだけど、どうなんだろうね。CGM と言えば聞こえはいいけど。

俺・・・別に。やりたきゃやればいいし、できなくなればやめりゃいいだけで。そういう移り変わりはあるだろう。互換シェルのサイトについても5年くらい前に同じ事を言ったが、 基本的に誰もサイトを作ってくれと頼んだ覚えはないし、やるなと強迫もできんわけだから、当人が法に触れない範囲で、やりたいようにやればいい。それだけだろ。asteroid#45 ってサイトも、もともとはフォトストック・サービスの会社みたいだけど、このサイトを運営していても、写真の販売にロジックとして「落ちなかった」ということなら、企業がボランティアでそんなサイトを運営し続ける必要はないわけで、さっさと閉鎖するのが当然だろう。どのみち大半のデザインポータルなんか、慈善事業じゃねーんだし。スタイルシートとかウェブ標準とか言ってても、結局はてめーの収益なり名声なりに落ちていくロジックが動かなきゃ、そんなことをやり続ける必要はないだろ。それでもやる人は、偉いかどうかの判断は別にしても、やり続けるんだろうよ。

僕・・・この先も?

俺・・・分からんが、RIA がこのまま行って、ウェブサイトのインターフェイスが AIR や Silverlight みたいなものとして動かざるをえなくなっていったとしても、「テキストベースのサイトの作り方」みたいなコンテンツを公開し続ける人はいるだろう。それがいいとか悪いなんて判断は誰にもできんし、やり続けること自体はただの自己満足だろうけど、それなりに感心はするということだよ。だから、asteroid#45 みたいなサイトは便利だったし「よい」サイトだとは思うが、それだけの話だ。

僕・・・なるほど、ドライですな。

俺・・・ていうか、そうなった(笑。もうサイトがなくなるとか移転するとかいったことに文句を書いたり、永続性がないといけないとか言うのは止めることにしたんだよ。ウェブのリソースは所詮はそんなものであって、誰でも始められて止められるからこそ、いいんだ。だったら、そういう軽やかさの代償として、リソースとしての永続性がないのは仕方ないだろうと思う。逆に、「ここにあるページを見られなくしたら、このリソースは他の場所で公開できなくなる」なんて固定する方が危険だろうと。中国とか、ロシアとか、ビルマとかの人が、政府にサイトの公開を停止させられたら、今度は geocities で公開すればいいとか、そこも止められたらBloggers へ行くとか、そこも Google に消されるなら、次は Tumblr だとか。で、公開して数ヶ月もすれば検索エンジンが拾ってくれますよと。逆に政府の関係者にも見つかるんだけど(笑。でもまぁ、それがいいんじゃないの?

僕・・・なんか事例が適切なのかどうかよくわからないけど(笑。地下組織みたいだね。

俺・・・どうだろうな。でもエシュロンとか ISP 事業者に警察が介入するのは困るという話と、何にもかわらないと思うけどな。

僕・・・ふむ。あ、そういえば asteroid#45 と aguse.com とを混同してたんだよね。で、aguse.com もなくなってしまったね。

俺・・・ああ、サーバ情報とかをキレイに見せてくれる Whois サイトね。あれは、会社に自前でつくったから、もういい(笑。ていうか、PHP に MX レコードの問い合わせする関数があるのを知らなかったよ(笑。なんで日本の PHP の本とか辞典って、ネットワーク関数をごっそり省略するんだろうな。よっぽどバグが多いんだろうか。

僕・・・道義的な理由ってない?

俺・・・は? なんだそれ?

僕・・・いや、考え過ぎかもしれないけど、あんまりネットワーク関数を教えるとロクなことにならないって思ってるんじゃないかと。

俺・・・素人がソケット関数とか使って、偽アクセスとかトラックバックスパムをばらまきはじめると困ると(笑。

僕・・・あーまぁ・・・なんというか・・・(笑

俺・・・なんか、おまえの方が酷いこと言ってるな(笑。辞典って頻度で選んでるものが多いから、ある意味では当然と言える。getmxrr が preg_match や fputs よりも頻出するコードって、想像しにくいだろう。もちろん分母がお互いに小さかったら数としてはわからんが。たとえば2回と1回だから getmxrr の方が多いなんてこと言われても困るけど。

僕・・・まあね。

俺・・・そういえば、もうそろそろ PHP 関連の本は飽和してきたような気がするが、次はなんだろうな。

僕・・・これまで見てきた限りでの話だけど、一気に出て、一気に出なくなるのね(笑。Java の本も見てるけど、あれだけ出てしまっていると、辞典や高度な本ってぜんぜん出てないみたいだし。

俺・・・入門書は継続していろいろと出るわけだが、いつまでもそんなの読んでても仕方ないわけだな。しかし、フレームワークのブームが一昨年から去年くらいで終わってしまったようなところがあるので、去年の時点で社内のフレームワーク習得を終えてる開発会社と、ぜんぜんやってなくて個人の裁量に任せた結果、みんな違うのを覚えていてフレームワークを使う効果が出ない会社と(笑、そういうのに分かれたように思う。

僕・・・だいたいどのあたりをやるの? ZF (Zend Framework) はみんなやるのかな。

俺・・・知らんが、もし俺がシステム部長のままだったら、遅まきだが ZF と Symfony にしただろうな。Ethna と Mojavi も別の人が使えるけど、あまりテンプレートエンジンとか PEAR とかに依存してるものはよくないと思ってるので。ていうか、Mojavi ってサイトがぜんぜん復旧しないので、あれはもうだめだな。で、悪いけど日本のオープンソースって、ご本人の思惑とは別のところで開発が止まることもあるので、ぜんぜん他意はないけど信用してない。やってる人は凄くて、モノも凄くいいんだけど、プロジェクトとして外からの圧力に弱いという印象があって。

僕・・・海外の人たちって、すぐに財団とかつくるしねぇ。でも、逆に言うと飼い殺しになりやすいってことではないのかな。Ajax フレームワークの Dojo なんか、周りに集まってきた企業のかけひきに使われてるように見えるんだけど。アップデートがすごく遅い印象があるし。

俺・・・そうだな。自前で活動するのが難しいとな。まさかいちいち NPO にするのもハードルが高いしな。で、こういうのを継続しようと思うと、一人よりも多人数でやる方がいいことが多い。所詮、本人が萎えたり死んだら終わりだからな。まぁ多人数になるとモメやすくもなるわけだが、やはり一人よりいい。だが、まさか P2P でコードをやりとりするのも変だし、一般のユーザに開放しようと思えば、当然だがサーバを契約したりメンテナンスする費用や人手がいるわけだ。つまり、オープンソースのコミュニティはタダで出来上がっているわけではないという自覚が、日本の(ユーザとしての)デザイナーや開発者、ましてや経営者や一般ユーザにはなさすぎる。バックボーンまで無料だと思ってやがるからな、こういう手合いは。

僕・・・ふむ。・・・では、話題を変えて2月にしようか・・・あ、でもこの話はちょっと続けてもよさそうだね。この前も、Ajax みたいな名前の日本の会社があって、オープンソースやウェブ上のコミュニティを利用して、サービス開発に取り組みますみたいなことを書いてたんだけど、これってちょっと経営者が言うのはどうなんだろうと思った。

俺・・・あーあのダサいサイトの会社な。ダサいというかユーザビリティも低いし、なんにせよ HTML を出力するルーチンを書く資格はないと思った(笑。まぁ来年には無くなってるような、どうだっていい会社だけど。で、そういうヘタレ企業はどうでもいいんだ。そんなのはすぐに淘汰されるから(笑。本当にそういうのにいちいち文句を言ってても仕方ない。問題があるのは、SIer とかベンダーのいちおうまっとうそうな立場の経営者とかアーキテクトが、経営の立場でオープンソースを「利用する」なんてことをだな、いけしゃあしゃあと言ってくれるところに問題があると思うのだな。おまえら利用するだけか、と(笑。もちろん、「オープンソースのコードを商用で利用するというリスクを背負うことが、参加することにもなっているのだ」というのは理屈としてあるにせよ、そういうこと言ってる会社の社員がフィードバックしてる事例がそんなにあるんだろうかと思う。生産性を上げるというか、要するに忙しいからてめーでコードをいちから書かないんじゃねーのかと。じゃあ、バグ報告とか、メンテに参加するとか、そんなことおめーの会社の働かせ方とか収益だったら、最初からできねーだろっていうかさ。何を最初から分かるようなウソいってるんだよ、こいつら、と(笑。

僕・・・さすがに経営陣にいた経験からか、厳しくなりますな(笑。

俺・・・もちろん、みんな誰かのやったことを利用したり助け合ってるようなところはあるだろう。それはそれでいい。しかし、よくもまぁ堂々と経営者が「オープンソースなので導入費用が安くなります」みたいなことを言えるもんだなと、思うよ。それで後からメンテナンスでごっそりふんだくるのが目に見えるようだ。だいたい、発注者にとって「オープンソース」なんてうれしいか? そんなもん誰も求めてないだろ。お客さんが求めているのは、提案であって、ソリューションであって、事業を継続する上での問題を解消することだろう。オープンソースなんか要求でも要件でもない。

僕・・・それって、開発が終わった後のメンテナンスや運用をきちんと考えてる発注者だったら、絶対に突っ込むよね。オープンソースはメンテナンスの保証がないので、バグとか脆弱性が見つかったら誰が対応できるんだろうって、ふつうに思うし・・・あ、そうそう。そのことで一つ思い出したんだけど。

俺・・・ほう。

僕・・・これは2月に書いていて、没にしたネタなんだけど、ウェブ構築・制作会社の営業とディレクターには、中小企業診断士の資格を強制的に義務づけることにしたどうかと。

俺・・・ほうほう、資格を保有する人間がいない会社はウェブ制作できませんと。

僕・・・極論だけど、企業にコーポレートサイトの制作とかウェブ事業の展開をすすめるんだったら、新しい事業所や営業所を立ち上げるのと同じくらいのコストをかけてもらうのが当然だと思うので、発注側にそういうことを要求するなら、やはり受注側もしっかりしたスキルをもって、経営コンサルタントと同等の人間がいなければダメだろうと。

俺・・・まぁ、極論というか、そういうことを言うとデザイナーさんとか資格や肩書きとは別のところで勝負してる人たちは困るだろう。フリーの人なら、デザイナーでも営業はやらなきゃいかんし。

僕・・・じゃあ、フリーランサーはそういう資格をもった人とチームでないと受注できなくなるとか。それは仕方ないよ。フリーで個人だからハードルを低くして下さいというのは、確かに雇用の障害を高くしないから経済効率も下がらないし、ヘタレが仕事をそのまましていればサイトのリニューアルが頻繁に行われて、或る意味での経済効率も確保できるので(笑、いいのかもしれないけど・・・やっぱりおかしいと思うね。全員に義務づけると、フリーの場合はスキルを信頼してもらっている営業さんやディレクターさんがいれば仕事を続けられるから影響はないと思うんだ。要するに、いまのウェブ制作とか構築(これは設計とかプログラミングとかも含んで言ってる)の業界って、アマチュアが仕事をしてるんだよな。僕は、そこは差別する方が社会にとっていいと思う。もちろん、だからこそそれなりの報酬を請求できるように、発注側にも強く法的な牽制が必要だと思うけど。

俺・・・おー(笑。どんと来たね。なんで俺の方が良識人ぶってる役回りになってしまうのか分からんが(笑、それはやりすぎではないのか? 確かに、いまのウェブはアマチュアが仕事をしてるというのは分かる。特に、クライアントがいつも錯覚してることの一つに、サイトをデザインしたり設計したり開発できる人間は「運営もできる」と思ってるところがあって、これはぜんぜんスキルが違うということを説明すると、みんな分かってくれる。ということは、これまでウェブの制作プロダクションは、そういう点ではお客さんを騙してきたと言ってもよい。

僕・・・まぁ、それも事業を継続させるという意味では、きちんとしたスキルをもっていない人に任せられないことだよね。だいたい、自分でサイトを運営したこともない人間が、Photoshop や Fireworks を「使える」だけでサイトのデザインとか UI 設計とか SEO ライティングなんかやってるし、サイトを運営したり、自分で掲示板を運営してみて色んなユーザと直にやりとりするとか、そういった経験がなさすぎるよね、制作会社のデザイナーとかプログラマーとかディレクターって。

俺・・・まぁ、EC サイトとかのパッケージにロクなものがないのは、開発会社の人間で実家が自営業だったり、自分で客商売をした経験が全くない連中が作ってるからだし、言ってしまえば9割以上のウェブ制作・開発会社に、ウェブサイトを運営していくスキルなんかありはしないのだということを、クライアントも含めて自覚すべきだろうな。自分でデザインしたりコーディングしたのだから、それを「モノ」として維持するだけでいい、みたいに考えていたら本当にどうしようもない。

僕・・・あと、クライアントが知らない実態の一つに、ウェブの制作会社でユーザビリティやアクセシビリティの担当者がいる会社なんて、殆どないということかな。ついでに言うと、そういった知識をもってるデザイナーやコーダも少ないし。まだまだデザイナーやコーダ、つまりはクリエイターの諸君は、ユーザビリティやアクセシビリティについて「俺たちは発想力や創造性の限界に挑戦してるんだから、無視してもいいんだ。こういうのはただのお約束でしょ?」みたいにしか理解していないね。

俺・・・アホに限ってそういうことを言う(笑。お前ごときのデザインなんか、CSS Vault とかに行けば幾らでもあるって、みたいな(笑。

僕・・・でも、たいていの凡庸なクリエイターってそうでも思ってないと、できないってところがあるでしょう。システマティックにすると、なんでこんなことにこれだけ時間がかかってるんだと言われて抗弁できないし。本当に考え出す能力がある人って一部だから、捻り出すのにふつうは時間がかかるよね。言って見れば、殆どのデザイナーにとって美術館にいったり洋書の本屋に行くのは自己暗示のための時間稼ぎでしかないわけで。

俺・・・しかし、そういう時間は必要なんだ。

僕・・・そう、そういう人たちがふつうの職業としてデザインをするために。ウェブのデザインは、特殊な才能をもった人だけのものじゃない。だから、わざわざ言い訳みたいに「発想力」なんて、ふつうのデザイナーは言わない。自分たちでそういうものが本質的に欠けていると分かってるから、そんな空虚な言葉で自分を誤魔化すことはしないだろうね。 プログラマーでも、自分で「生産性」なんて言う人はいないよね。だけど、やっぱり自意識というか、自分がデザイナーだという自意識が強くなりすぎると、さっきみたいにアクセシビリティはただの足かせだみたいな話になってくる。

俺・・・なるほどなぁ。ふつうの職業としてのウェブデザインやプログラマと。

僕・・・そうね。建築家とか芸術家じゃないんだってことだね。

俺・・・それで、次にこの話をしておこうと思ったんだが・・・

僕・・・はいはい。2月の話題だよね?

俺・・・2月に書いてて、公開するのを止めたネタなんだが、やっぱりここで取り上げよう。ていうか、そういうためのエントリーなんだろ?(笑

僕・・・まぁね(笑。

俺・・・じゃあいいか。俺が途中まで書いてたのは、よく最近な、画面設計とかデザインだと UX 系の話とか、んで開発だとオブジェクト指向みたいな設計手法の話をしている人々が、なんか怪しいエセ数学とかエセ哲学を語り出しているなと(笑。

僕・・・ああ、『現代思想』の分析哲学特集で取り上げてた人がいたね。アメリカでオントロギーを扱っているIT企業では社員の7割が哲学科出身だけど・・・みたいな話ね。

俺・・・そうだな。で、アメリカはいいんだ。哲学科の学生はみんな数理論理学を第二不完全性定理あたりまでやるし、集合論も強制法あたりまでやるから。日本のITアーキテクトとか、情報アーキテクトはどういうバックボーンがあって、セマンティックウェブの話をしてるのだろうか、という疑問がふとあってね。あの手の話は、自分が科学哲学をやってるからよく分かるけど、煙に巻くような議論がいくらでもできる。しかも日本のウェブ業界には、特に OSI モデルで言うアプリケーション層の話だけど、数学と無関係だからウェブ制作をやってますみたいな人が多くてさ(笑。それは別にいい悪いとは関係ないんだけど、だったらセマンティックウェブの話で専門家ぶってメシを食ってるんじゃねーよと。てめーのブログにでも書いとけって気がする。

僕・・・ふむ。でもまぁ、アーキテクトだし彼らなりの理解した内容で成果を上げればいいんじゃないの? それだと、なんかサイエンスウォーズっていうか、よくある蛸壺のたとえ話にしか見えないよ。素人は黙ってろ、みたいな。僕も研究者だったから、ああいうレベルの低いつまみ食いの哲学談義で情報とかシステムのアーキテクチャを語ってるなんて、とても海外には紹介できないんだけど、まぁだからと言って止めろなんて思わないけど。だって、短期的にはああいう人々が『日経SYSTEMS』とか『ITアーキテクト』とかに連載記事でも書き出して金儲けするにしても、長期的にはレベルの低い仕事をしていたら誰の身にもつかないでしょう。ただたんに雑誌の記事として「消費される」だけでしかないと思う。消費されて終わりみたいなことだけ雑誌とか講演会でアジってるだけのコンサルトか自称アーキテクトは、要するに無視しても大丈夫かなと思うね。どのみちハエみたいな連中で、どんどん出てきてはすぐにいなくなるよ、心配しなくても。

俺・・・まぁ、放置してもいいんだろうけど、意外にああいう連中がしぶとい偏見をばらまくかもしれん。なぜなら、会社は淘汰されてなくなると本当になくなるが、人間やその人の意見は淘汰されてもどこかに影響が残るだろう。雑誌の記事を大事にもってるとか、同じ偏見を共有してる奴が取って代わってよく似た議論をばらまき始めるとか。僕・・・まぁね。困ったことに、こういう連中に限って特殊法人とか専門学校の教師とか、外の批判からガードされてる位置でぬくぬくとやってるからな(笑。で、みんなあんまり声を大にして言わないんだけど、日本のITアーキテクトとか SIer のプロジェクトマネージャって、絶対に論争しないよね。せいぜい、スラッシュドットとかでつまんない蘊蓄を垂れるか、どーでもいいようなことでどっちが物知りか競争してるくらいで。明治時代の学者みたいに海外の知見を吸収するのに必死で、突き合わせるべき体系とか自分なりの derivation がないんだな。

俺・・・昔から日本の学者にしてもそうだけど、帰納っていうか洋書を読んだりしてまとめるのは上手いんだよな(笑。でもそこからの derivation がないから、乗り越えていくような議論ができない。昔、浅田彰さんとかは「まとめるのがうまいだけだ」とか批判されてたが、彼は寧ろ、フランスの思想を「日本で」「日本について」展開する(derive)のがうまかったんだよ。まとめるだけならあれだけの才能は必要ない。日本のITアーキテクトなんて展開どころか吸収すらできていない気がするね。

僕・・・まぁ大手の SIer にいる人たちは研究者とも交流をもってるはずだから、実際には色々やってるんだろうと思うけど、結局は表に出てこなかったらよく分からないよね。で、日本の SIer ってお金にならなかったら何もしないじゃない(笑。『日経プログラマ』あたりにテキトーな雑誌記事を書いて SOA とかをアジるか、数百万のエンタープライズパッケージに反映するかしないと、成果を表に出さないようなところがあるし。ふむ。まぁ、じゃあこんなところにしておこうかな。ちなみに、いまの話にも出てきたけど、セマンティック・ウェブってどう?

俺・・・いや、どうって言われても困るけど(笑。一つ言っておくと、もしあれが特定の XML みたいな構文を特定の意味つまり構造とかモデルに固定させようとするものなら、そんなのは全然正しくない。というのが、現代の言語哲学の知見だからな。これこれしかじかの場所(論理構造の或る項)にあるモノは、何であれ我々のモデルにおいてしかじかの意味になるのだ、などとモデルがただ一つだけ決まるなどということはあり得ない。それはオントロギーだろうが何だろうが、お仕着せの部品を用意したところで現実離れして使い物にならなくなるのは目に見えてるし(言葉の意味や文法は変化するのだから)、そもそもそんなオントロギーをたかだかこの数年で構築できるなんてのは、傲慢どころかファシストなんじゃないかと。存在論的ファシスト(笑。

僕・・・でも、だからといってめいめいが自分なりの意味づけを言い立ててるだけじゃだめなんじゃないの?

俺・・・なんで? 例えば、これこれのブログエントリーは「肉」「野菜」「カレー」「好物」というタグをつけていますって著者が設定したとしてだな、「それは違う」なんて言う権利が誰にあるんだ、そもそも?

僕・・・ないから・・・

俺・・・そう。ないんだったら、要するにセマンティックウェブを実効性あるものにしようとすると、誰かが勝手にオントロギーを固定して、「お前のエントリーには、要するにこういうタグが該当するのじゃ」と勝手にあてがっていくしかなくなるだろう。で、どのセマンティックスが妥当なのかという競争をやり出す。

僕・・・え、それってじゃぁ・・・

俺・・・そうよ。まさに検索エンジンがしのぎを削ってるのは同じことをめぐってなんだよ。だから、セマンティックウェブなんか、とっくの昔に戦場にかり出されてるわけで、いまさら良いの悪いの言っても遅いという話だ。

僕・・・そうなんかね。よく分からないけど、今回はこれくらいでお開きにしましょうか。

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