2018年01月22日に初出の投稿

Last modified: 2018-01-22

The Death of Microservice Madness in 2018

言わずもがなではあるが、多くの buzzwords は buzzwords となっている時点で、マーケティング(広告)という脈絡でしか評価できない言葉であり、概念となっている。したがって、buzzwords となった言葉やその概念について「それはマーケティング屋の発想だ」などと指摘しても無意味である。「その馬は動物だ」と言っているのと同じだからだ。そうではなく、そのような言葉の運用によってどのような弊害が予想できるのか、そしてその原因として、概念をどう違えて(実は「間違えて」いるとア・プリオリに断定できるとは限らない)いるのかを指摘する方が重要である。

しかし、この記事で議論されているのは、寧ろ buzzwords の一つとして濫用されている言葉や概念ではなく、もともとの発想の方である。そして記事の内容は、もともとの発想が間違っているということなので、実は buzzwords を振り回している人々に対して何事かを説得するような強いインパクトを与えられないという弱点がある。なぜなら、宣伝のために適当に言葉を使っているマーケティング部門の人間や市場アナリストや営業担当者にしてみれば、「理想がかなえられない」という弱点などビジネスでは大して意味がないからだ。彼らはそんなことのために仕事をしているわけではないのである。簡単に言えば、彼らにとって重要なのは「マイクロサービス」という言葉でどれだけ見込み客を煙に巻いたり、何か良さげなものであるかのように都合良く期待(誤解でもよいが)させられるかということであって、それがシステム開発とかサービス提供に当たって「良い方法」なのかどうかなどということは、どうでもよいのである。

そういうわけで、この言葉や概念が専門家や開発オタクにおいてどれほど無用となろうとも、市場で有効に使えているうちは問題がない。そして、どのみち営業担当者やマーケティング部門のアナリストなどという人々は、自社のサービスを動かすソフトウェア・アーキテクチャにどんな設計思想や開発言語が採用されているかなど知らないし理解できないし、要するにどうでもよいのである。同じような調子で、昨今では「人工知能」だの「機械学習」だのと、実はセールスしている人間の誰一人として恐らく理解してはいない buzzwords が流行しているが、実際のところ「人工知能による採用サービス」の裏で新卒がエントリーシートから出力したエクセルシートを単純に「並べ替え」して結果を出しているだけだとしても、マーケティング屋とか市場アナリストには見分けなどつかないだろう。そういう意味では、皮肉な話だが、既に機械の出力内容の品質は一部の業務においてチューリングテストをパスしていると言ってよいのだろう。

なお、本題について殆ど言及していないので書いておくと、マイクロサービスに限らず一つのサービスを小さなモジュールやサブルーチンへ分割し直すモジュール化というものは、その逆であるモノリシックなアーキテクチャやソフトウェア設計についても言えることだが、何か闇雲に当てはめて成果が上がるものではない。もちろん、OOP を始めとして機能を細部へ分割するという設計によって成果が上がったプロジェクトもあるだろうし、過剰に分散化したしたシステムをまとめなおして成果の上がったプロジェクトもあろう。そして、こういうことの是非を弁えるアーキテクトやプログラマにとっては、この記事のような「バックラッシュ」も一つの牽制材料でしかなく、専門的な観点から言って「いまのところ、これだけが正しい」としてコミットするようなものではない。

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