2018年08月10日に初出の投稿

Last modified: 2018-08-10

『世界経済を破綻させる23の嘘』(ハジュン・チャン/著、田村源二/訳、徳間書店、2010)という本があったらしい。それなりに面白い着眼点だが、そもそも否定しようとしているのが日経や東洋経済や PHP などのソーシャルメディアに書かれている極論なのだから、僕らのような哲学者は言うに及ばす経済学のプロパーからすれば何の変哲も無い議論なのだろう。

「市場は自由でないといけない」なんて、いまどきそんな単純なシステムを誰が信じたり大学で教えているのか。「株主の利益を第1に考えて企業経営せよ」というのも、確かに有力なステークホルダーには違いないが、では株主が脱税しろとか反社と手を組めと言えばするのかという問題が生じる。ステークホルダーには行政も顧客もいるのだ。「市場経済では誰もが能力に見合う賃金をもらえる」なんて実態としても嘘だし、理想としても能力だけで判断していいかどうかは議論が分かれる。能力なんて判定できるわけがなければ、成果でしか同一賃金にできない職種がある可能性もあろう。「インターネットは世界を根本的に変えた」とか、いまだに何を言ってるのか意味不明だ。そういうことを言いながら、そういうことを言い続けている腐れ物書きどもの生活は腐れ物書きとして何も変わってはいないではないか。「市場がうまく動くのは人間が最悪(利己的)だからだ」というのも、「利己的」という概念を完全に誤解しており、ゲーム理論の初歩すら知らない無教養な人間が口にするデタラメである。「インフレを抑えれば経済は安定し、成長する」というのも、インフレやデフレがない状態は安定というよりも停滞であって、成長などしない。

とにかく暴言の類に反論しているだけだから、簡単と言えば簡単である。

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