2018年06月05日に初出の投稿

Last modified: 2018-06-05

・篠原嘉一氏の講演内容には、IT関連の知識がない人にはわかりづらいウソや間違い、極論が多く含まれているため、適切な情報教育だとは言いがたい。よって改善を強く希望する。

・学校側は「生徒をネットのトラブルから守りたい」という思いが優先されるため、ITエンジニアよりも「情報の正しさ」がないがしろにされてしまうのかもしれない。だが、ITエンジニアとして、そして保護者として、学校は子どもたちに正しい情報を伝える努力をしてほしい。

・我々ITエンジニアも情報教育を学校に丸投げするのではなく、正しい知識を伝えるために、主体的に情報教育に協力していく必要がある。

【問題提起】篠原嘉一氏に情報教育の講演を依頼する前に考えていただきたいこと ~ITエンジニアから見た、情報教育のあり方について~

一知半解を絵に描いたようなコンサルが地方公共団体にたかっているのは、もはや日本の地方行政における「風物」と言っていいような常識に属しているのだが、とりわけ IT については専門の人間が地方に少なく、また大都市の職業人は(食えなくなったら目を向けるのかもしれないが)田舎の IT 教育なんて眼中にないので、なかなか妥当なレベルからの評価や批評が加わり難い。もちろん、たいていの人間は大した才能もない凡人なのだから、若者の単純なベキ論とか、官僚が叙々苑の安楽椅子で語るような理想論を、予算も人手も(そして場合によってはモチベーションも)欠けている地方行政に押し付けたところで、実効性はないだろう。したがって、或る種の緩衝材として、かような IT コンサルが地方行政にいるだけでもマシと言うべきなのかもしれない。そして開催したい研修の回数は多い方が行政官にとっては手柄となるので、こういうお手頃なコンサルに講演を依頼することとなるのだろう。

そもそも、行政や教育者にとって IT は「子供にとって有害なもの」という強い思い込みがある。もちろん誰にとっても IT サービスや機器の利用にあたっては一定のリスクがある。それは情報セキュリティ・マネジメントの実務家である僕らにとって常識の範疇にある事実だ。そして、篠原嘉一という人物のような、公安・警察関連の団体に入っていたり研修をやっている人物は、人脈としても、クレーム発生時の切り捨てやすさから言っても(笑)、そういう強い思い込みを補強してくれる実に都合がいい人物なのだ。そして、こういう人物は公安・警察関連の観点から、「ITは怖い」「ITは危険」「ITは有害」だと、いろいろなリスクについて教えてくれる。もちろん、その多くは事実であり、僕も彼が言うように中国の企業が製造したスマートフォンは使いたくないし、当社は何年も前から Lenovo は調達禁止メーカーに指定してある。高木浩光氏をはじめとする人物が関わっていようと、個人として LINE なんて安全になったとは思っていないから使わないし、篠原さんが言うように位置情報をむやみに渡すべきではない。

しかし、それは事の半分でしかないということを篠原さんは説明していない。これは、彼が単に無知なせいなのか。それとも、彼のようなことを言って警告する人がいて、他の便利だ次世代のなんとかだと騒ぐマスコミがあって、そうしてようやく社会全体の印象がバランスをとるのだという、マクロのスケールで社会心理学的な牽制をはかっているだけなのか。これは僕にはわからない。もちろん、そういう道化師を敢えて演じる人もいる。僕だって、ここで敢えて大多数の人々を「凡人」と(正確かつ正しいが、語感は極めて侮蔑的なのは分かっている)呼んでいるのは、一定の効果を狙っているからだ。もし、敢えて事の半分しか言わなくても一定の牽制効果があるということであれば、上記のブログ記事の著者が言うような「情報の正しさ」という概念には一定の留保が必要だろう。そして、「主体的」に IT 企業の人間が教育に関わるとどうなるかを、この若者はあまりご存知ないらしく、こんどは行政の素人として彼が非難を受けることになる。

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