2018年08月28日に初出の投稿

Last modified: 2018-08-28

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株式会社だいこう証券ビジネス

新しいサイトを設計しているときに、UD はもとより高齢者が使いやすいサイトを考えると、やはり最近の流行になっている flat design が気になる。僕も、昔はこのサイトのグローバル・メニューのように、クリックできるのかできないのか分からないようなブロック要素を配置していたものだ。いや、いまでもそういうデザインをすることはある。そして、エンドユーザがマウスオーバーして、押せる箇所なのかどうかをいちいち試してくれるはずだという、デザイナーとしては一種の甘えがあるのだろう。しかし、やはりそれは再考すべきだ。腕や指を動かすのでさえ苦労するような重度の障碍者は言うまでもなく、また老人にも限らず何歳のエンドユーザであろうと、そんな試行錯誤をしてくれると期待して UI を設計してよいのだろうか。どこかのブロック要素を一度しかクリックするチャンスがないという場面を想定して、やっとの思いでマウスポインタを当てたブロック要素が単なる埋め草やあしらいのグラフィックに過ぎなかったとしたら、エンドユーザに与える失望は大きなものだろう。そうでなくても、目当てのコンテンツへアクセスしたいユーザに何度もマウスオーバーさせたり、クリックできそうなブロック要素を探索させるという負荷を与えることなど、情報提供コンテンツという商品を設計するプロフェッショナルとしては、まず慎むべきであろう。僕ら職業人としてのデザイナーは、クライアントのお金を使ってゲリラ・アートを実行する権限など与えられていないし、ユーザビリティの原則を敢えて無視してエンドユーザにサイトの独特な(つまりは非常識な)UI を「学習」させるといった傲慢な態度をとる権能ももってはいない。

そもそも、このサイトというよりもクライアントの付けた社名にも問題があり、プロのデザイナーであれば、次のような問題を敢えてクライアントに指摘して対策を講じるべきだろう。つまり、「証券ビジネス」とは何なのか。コンテンツを詳しく見ると証券会社ではなく、証券会社を始めるための支援をする会社らしいと分かるのだが、そんなことはトップページを見ただけでは何も伝わらない。株の取り引きは金持ちの単なる暇つぶしではないのだから、証券に関わる作業が殆ど全て「ビジネス」であるのは自明だ。それを、わざわざ社名に「ビジネス」と付けているのはどうしてなのか。これは、初見の人たちに興味を起こさせるきっかけになりうるが、しかし逆に不信感を惹き起こす原因にもなりうる。

そして、これは僕が10年以上も前に指摘されたことだが、この上下に配置されているグローバル・メニューというものは、本当に使われているのだろうか。他にクリックできるところがなくて、仕方なく最後に探し当てたエンドユーザがアクセスしているだけではないのかという疑念が残る。なぜなら、たいていのグローバルメニューは大項目のアンカーテキストしか表示されていないので、クリックするとどういうコンテンツが表示されるのか予測し難いからだ。酷い場合は、いちばん左に表示される「TOP」というリンクが、下層のカテゴリーのインデックスページとサイト全体のトップページとで全く同じ「TOP」という表示になっていることもある。これでは、高齢者でなくとも混乱する。

それから、このサイトの「企業情報」というカテゴリーの配下に属しているコンテンツの配置が典型と言えるように、情報の配置が何も考えられていない。まったく雑然と並べられているだけであり、企業の情報にアクセスする人がどういう目的をもって何を優先したいと思っているのかという心理モデルを全く作らずに情報設計していることが分かる。少なくとも、与信判断の材料として会社の一般的な情報(資本金、創業年、代表者氏名、本社所在地、従業員数など)を知りたくてアクセスするような人と、それ以外の経営理念とか沿革といった、はっきり言えば興味本位でしかアクセスされないようなコンテンツを明確に分けて配置するべきである。つまり、意味もなくブロック要素を三列に区切って配置するくらいなら、二列に区切りなおして、左に「会社概要」「役員一覧」「事業所一覧・アクセス」を並べて、それ以外のコンテンツは右へ並べるのが適切だろう。(この、よくわからないコンテンツの並べ方、「ごあいさつ、グループ企業理念、経営方針、コーポレート・ガバナンス、会社概要、役員一覧、沿革、事業所一覧・アクセス」は、ページのフッタの近くにあるナビゲーションにも反映されているが、こんな並べ方には殆ど意味がないと思う。)

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