2019年06月10日に初出の投稿

Last modified: 2019-07-11

ワタシ自身はメイカーではないが、『Make: Technology on Your Time』日本版には翻訳者としてずっと携わり、先月の Maker Faire Kyoto 2019 が実はかなり久しぶりではあったが、日本の Maker イベントにもこれまで何度も足を運んできた。そうした人間として、やはり残念に思うのは間違いない。

Maker Mediaの操業停止とメイカームーブメントのこれから

昔の、それこそ大人の趣味だとかマニア向けの本や雑誌なんてものは、裾野こそ狭かったとは思うけれど、当人たちも同じ趣味が好きだという人が記事を書いたり翻訳していた筈なんだよね。なので、専門の翻訳家じゃない人もたくさんいて、まぁ出来栄えには大きな差があったのも確かだし、雑誌なんてレイアウトからして僕らから見れば素人というものが多々あったわけだけど、やってる当人たちが面白がってる雰囲気は伝わってたのがよかったんだよ。それが、最近では翻訳家の数だけ増えていったり、しゃれおつな都内のエンジニア向けホビーなどと言っては、田舎者に最適化されただけのファッションとかライフスタイルとか読み物が続々と作られては、主に首都圏だけで売り切れたらいい(本物の田舎者が買うかどうかなんて知ったことじゃない)という販売計画でなんでもかんでも粗製乱造されていったというわけだ。何度か言ってきたことだが、日本企業は既に30年以上は前から、「ものづくり」なんて志向を技術マネジメントや経営方針から投げ捨ててしまっていたのである。残っているのは、流行の産業なり人々の消費志向を「物書き目線」と呼ばれる、実は日本人が大好きな《下から眺める神》の目線から語るような人々の雑な思想と雑文だけだ。 結局、いろいろな部品が出回るようになった時代の、昔なら海外を飛び回ってマッチ箱を集めて回っていたようなサラリーマンのささやかな(しかし現在では東大を出て伊藤忠から海外留学させてもらえるくらいのステータスでもなければ不可能な)大人のホビーなんてものは、現代の数多くのワーキングプアでしかないエンジニアたちからすれば、単なる成金趣味の一つでしかない。海外であろうと、たとえ1,000万円の年収をもらっている IT ベンチャーのエンジニアたちは、結局のところ家賃が80万円くらいするような近辺の家しか借りられない。そういう人がどんどん増えてくれば、こういう趣味、特に何度もどんどん新しいものや違う種類の商品を買い続けてくれるコレクターやリピーターがいないと継続できないビジネスというのは、日本に限らず成立させるのが難しくなってきているのだろう。 そして、そういう傾向は「メイカー」のような工作趣味に限った話ではない。書籍ですら IT 系はどんどんオライリーに販売委託するようになってきてて業界が整理されている真っ最中だ。Apress も Wrox も新しいタイトルがめっきり減ってしまったし、出たとしても単なる流行に乗っかった、そして半年くらいすれば紙くず同然の価値しかなくなるようなものを出しているように思える。

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