2018年04月02日に初出の投稿

Last modified: 2018-04-02

たまに高校数学の参考書や問題集を古本で買って、暇潰しに問題を解いたりしている。アマゾンのレビューやブログ記事も参考にさせてもらっているのだが、啓林館の『Focus Gold』を「参考書」と書いてる人がいるのは、これは頼むからやめてもらいたい。

多くの生徒(の家庭)にとって、2,000円前後の本を教科ごとに買うのは金がかかって大変だ。特に『Focus Gold』は店頭販売していないから、間違って売れてしまうと、逆に買った人を失望させて悪評が溜まるだけなので、出版社にとっても迷惑な話である。『Focus Gold』は、どう見ても問題集である。公式を導出してみて証明するなどという記述は皆無だし、学習事項についての解説は復習用のメモていどと言ってよく、分量は教科書にすら及ばない。したがって、教科書の補助や発展的な勉強に使う「参考書」として買うものでは断じてない。あれは、大量の問題と丁寧な解答が付いた良質な問題集だ。

という事例でも分かるように、他人にものを説明する訓練や自主的な言葉へのこだわりのようなものがない、全くの素人学生が、たかだか東大に入ったの修士に上がったのという些末な理由だけで他人にものを教えられると思い込むのは、CGM なりオンライン・デモクラシーの間違った影響なのだろうとは思うが、実は害の方が大きい。なぜなら、良質なコンテンツの方が数は少ないので、CGM や集合知の信奉者が牧歌的に期待するほど良質なコンテンツへの findability は向上せず、低質なコンテンツどうしでの SEO 競争に隠れてしまうからだ。そして、これはウェブのコンテンツを運用するプロでも忘れがちなことなのだが、ウェブのコンテンツは印刷物とは違ってすぐに何度でも修正できるが、エンドユーザがアクセスする機会という点では全く同じなのだ。デザイナーや個人事業主に気楽なメールを書いて数分でコンテンツを修正できるからといって、それまでに間違ったコンテンツへアクセスしたエンドユーザが「見直してくれる」可能性などゼロである。とりわけ、高校や大学の参考書について調べているような人であれば、いちどどれを買うか決めたら、そんなサイトには二度とアクセスしない。そういうシビアさは、印刷物やテレビコマーシャルと同じなのだ。僕はこれまで、宝塚の公式サイトを運用している制作会社にいたこともあるが、コンテンツを間違えるどころか、その更新のタイミングが数秒遅れたり早いだけでも、クライアントに役員が出掛けて土下座という場合もある。舐めるなよ。

よって僕がいつも言っているように、疑似的であろうとなんだろうと、権威主義というものを適切にコントロールしながら活用した方が有益だと思う。

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