2019年08月14日に初出の投稿

Last modified: 2019-08-14

「管理部門の適正人数(従業員比率)」という話題は昔からあって、それこそ都市伝説のように「5%」だの「10%」だのという、はっきり言って何の根拠もないデタラメな数字だけがささやかれているのが実態だ。繰り返すが、管理部門の適正な人数割り当てなど、事業内容や業容という条件によって幾らでも変わるのが当たり前であり、そういう条件を正確に理解して自社の適正な割合を決めるのも経営陣と人事部の力量なのである。

まず、管理部門の従業員比率が 100% だと売り上げがゼロなので、売り上げによって事業を維持している企業の経営が成立しないのは自明である。ただし、こういう事業者が存在しえないかというと、そういうわけではない。皮肉にも清算している途中の事業者には(経営陣を除けば)管理部門の従業員しかいないのである。

それから、どういう業務が「管理部門」に当たるかは事業者によって異なる。「プロフィット vs. バック・オフィス」という対比は、単純すぎて経営判断を歪めているのだ。例えば、多くの事業者では僕らのような情報セキュリティ管理や情報システム管理という業務は管理部門に分類されているが、僕は当社の Chief Privacy Officer であるばかりか、昔から電通・博報堂案件の殆どのサーバ構築とプログラム開発に従事している事実上の CTO / CIO / CISO なので、裏の管掌はプロフィット部門にあたる。しかし、ウェブ制作会社や IT ベンチャーの多くはシステム開発という業務を「金儲けに貢献している人材」という意味でのプロフィット部門の業務と見做しておらず、可能なら無料でオンラインのサービスを利用したり、どこかのサイトからダウンロードして使えるなら雇用しなくてもいい余剰人員と扱っているため、もとより経営者にとって管理部門は最初から余剰人員であるから、職能だとか何をしている人員かではなく、経営者にとって「無駄金を払っている人々」であるかどうかという分類しかないのである。たいていの IT ベンチャーや中小企業(場合によっては大企業や上場企業でも)がロクでもない情報管理や情報システムの運用、個人情報の杜撰な運用をしているのは、結局のところ情報に携わる人員を「お荷物」と見做しているからに他ならない。もちろん、たいていの人員は平凡だし、大多数は無能であるが、それは営業マンやディレクターにも言えることである。

まともな経営者というものは、こういう根拠のない区別や比較基準に訴えて思考を省くという習慣には、何らかの重大なリスクが(もっともそれは長期的な影響だけかもしれないが)あると知っていて、5年で楽天か IIS に買収されたらオッケーというガキでもない限りは going concern としての見通しなり方針をもっている。よく「ゼロベース」などと言われるが、それはまさに上記で述べたような、殆ど経営学やビジネスの経験から考えても根拠のない「5%」や「10%」という数字を指標として信用せずに、事業の将来像や目標にとって必要な要素が何であり、どういう人員や業務によって達成できるのかを(少なくとも出鱈目な数字ではなく自分の知識や経験による、不十分かもしれないが納得のゆく推論として)自分自身の思考で導き出すという意味である。

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