2018年12月11日に初出の投稿

Last modified: 2018-12-11

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現代暗号 (シリーズ・情報科学の数学)

本書を天牛堺書店で見つけた。中を見ると、1997年の発行なのでさすがに量子暗号は取り上げられていないが、ここ5年くらいの間に出た暗号論の本と大差ない範囲をカバーしており、秘密分散法も10ページくらいを使って丁寧に解説されている。正直、これだけの本が1997年に出せている国内の情報セキュリティ関連の出版にあって、それでは科学ライターやセキュリティ・暗号論の関連で本を書いている人々は20年ほどのあいだ何をやってきたのかと言いたくなる。

もちろん結城浩さんや IPUSIRON さんをはじめとして、多くの人々が色々な暗号論の教科書や通俗本を出していて、それなりに啓発としては貢献してきたことは分かる。しかし、やはり日本の技術系の出版は日教組の教師みたいな「底辺に合わせた執筆」が基本であり、有能な人たちは国内の出版を無視して洋書を読むしかないという状況が、システム開発でも科学哲学でも、あるいは他の分野でも昔から変わらないようだ。もちろん、裾野を広げたいということであれば分かるし、誰であれ学ぶべき教養であればなおさら理解できるものの、やはり情報セキュリティや暗号論でいつまでも公開鍵暗号で終わるようなレベルの低い教科書を書き続けていては、いつまでたっても日本のレベルは平均的に言って低いままだろう(できる人間は最初から日本の出版物など無視して洋書を読むからどうでもいいのだろう)。そして、ITゼネコンやウェブ制作会社で SSL の通信やセキュア・コーディングを担っている人々の水準は、恐らく中国やインドよりも遥かに低いまま、恐らく数十年もすればシンガポールあたりの制作会社の下請けをやっているような事態になるのではないか。武雄市長に入れ知恵した、なんとかサティスファクションのようなイカサマ野郎に NTTDATA や東洋情報システムが発注してもらうような立場になるのだ。恥だと思わないのか。

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