2018年07月20日に初出の投稿

Last modified: 2018-07-20

これまでドメイン名を幾つか登録・取得してきた。

もちろん、こんなものは安定した「財産」とは言えない。あくまでもインターネットというしくみや DNS やレジストラという仕組みが維持されていてこそのものだ(もちろん、そんなことを言えば土地でも家でも国家や治安制度がなければ誰かに奪われる心配をしなくてはいけない。どのみち一定のルールや制度や権利という観念が共有されていてこその財産ではある)。よって、ドメイン名のような単なる決まり事で誰がかが「所有」しているにすぎないものに、必要以上の愛着や執着をもつのは愚かなことかもしれない。実際、僕はコンピュータや自宅のテレビなどに名前を付ける人の感覚が理解できないし、そもそもペットに名前を付ける感覚も異様だと思うのだが(実際、当家ではセキセイインコを飼っていたが、全て「とり」と呼んできた)、本人の意志と無関係だという点だけで違和感を覚えるなら、どのみち人であろうと親に好きに名前を付けられたという事実には変わりがないのだし、仮に僕が自分で名前を「孝之」から「権左衛門」とか「晋三」とか「ジョニー」などに変えられたとして、それがなんだというのかと思わざるをえない。たまたまヒトは暫定的に「意味」と呼ばれている認知内容を運用する仕組みを進化の末に獲得しているが、こんな生物学的な発生論(僕という個体の発生という局所的・個別的なプロセスのことではない)でしか説明できない事実は宇宙の真理にとって必然的な関係などない(もちろん、僕は人間原理は思考の混乱なり錯覚だと思っている)。名前や言語どころかヒトのもつ認知能力という生理的な諸条件が僕というヒトの個体にとってすら、何かそれ自体で十分な結論を引き出せる保証などないのである。(既に PHILSCI.INFO で書いている論説でもほのめかしているが、同じく、僕らは単なる概念操作だけで「死」について十全な理解には到達できない可能性が高いと思う。)

かなり話が逸れたので、ドメイン名の話に戻ると、markupdancing.net とか philsci.info とか、あるいは過去にもっていた takayukikawamoto.com とか crossedge.net とか identifiable.info とか orbitplanes.com とか yamahata.info とか suez73.org とか architectures.jp といったドメイン名には、それぞれ当時の関心とか動機があって何らかの特別なコンテンツを制作して公開したいという意図があった。いまでは、哲学系の philsci.info とそれ以外の markupdancing.net(いや、もともと MD が主で philsci.info を分離したのだが)だけがあって、それ以外はわざわざドメインを取らなくても MD のカテゴリーとしてサイトを作ればいいという気分でやっている。そのため、高校時代からの長い付き合いになる友人がたまに MD を見ると、「このサイトはいったい何なんや?」という感想をもつらしい。どうやら、ウェブサイトというものは何か明確な一つのテーマをもっていなくてはいけないらしいのだが、敢えて MD のテーマを言うとすれば、それは僕つまり河本孝之その人ということになる。そもそも、こんなサイトを自意識という動機もなしにわざわざ制作して公開するわけがないのであって、僕はこういう興味をもっているのだという主旨が言外に発せられているのは当然のことだと思う。

ただ、何年かおきに新しい gTLD が出ると、ムームードメインで "philosophy" とか "philsci" とか "crossedge" とかで検索してみて、良さそうな組み合わせがないかどうかとか、あるいは全く新しいドメインを取りたくなるかもしれないので、物色はしている。ドメイン名なんてしょせんは数十年もすればどうなるか分からないしろものだが(プライバシー、つまりアイデンティティに関わる snail address とは違って、ドメインと当人のアイデンティティとの結びつきは、何の根拠もない観念にすぎないのだが、住所も結局は行政が勝手に変えてしまうこともあるわけで・・・と、冒頭と同じ議論になる)、それなりに自意識プレイの道具としては自己満足のいい手段だからだ。しかしそれにしても、最近のドメインは更新料金が高い。初回の取得料金なら、どこの代理店でも 1,000 円以下で取れるドメインも幾つかあるのだが、そういう安価に取得できる gTLD のドメインでも、更新料金を見ると 5~20 倍くらいの値段になっているものが多い。ドメインを一つだけ自分の小遣いで運用したいというのであれば、年間の更新料金が 5,000 円くらいのものでも大人の贅沢としては大して問題にはならないだろうが、単に違う目的のために違うドメインを取りたいということなら、本当にそんな必要があるのか、サーバを借りたりする必要すらないなら、Facebook ページを作ればいいだけではないかとか、そういうことを検討した方がいいだろう。独自ドメインでサイトを運営するというのは、いっときはバカみたいに誰でもそう「あるべき」だと豪語していた IT ジャーナリストやクソみたいな物書きや事業者もいたが、何度も言うように通信技術の仕様やサービスとしても、それから文字列とコンテンツの関わりとかブランディングといった観点からも、永続性が保証されていない一時的な手段として割り切る方が正しいのかもしれない。ドメインの更新料金がどんどん高くなっている現状を見ると、こういうものにオンラインのアイデンティティを求めるのは、個人としてはコストがかかりすぎるし、実はマーケティングの観点から言っても調達・維持管理から永続性や効率といった点まで含めて(当然、マーケティングとはただの宣伝の意味ではないからだ)、本来の目的を十分に達成できる手段にはならなくなってきている恐れがある。

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