2018年08月24日に初出の投稿

Last modified: 2018-08-26

会社から船場センタービルを通って帰るコースでは、松屋町筋まで来たら筋に沿って暫く南へ歩く場合がある。そもそも、中央大通の南側は松屋町筋を渡る横断歩道がなくて歩道橋しかないのだが、この歩道橋ときたら臭い、汚い、狭い、階段がキツい、おまけに通路のブロックが剥がれていて崩落しそうに見えるので渡る気がしない。ということで南へ折れて横断歩道を渡っているのだ。松屋町筋に入って一つめの横断歩道と言っても、そこまでは 100m ほど歩く。そして、その横断歩道の前に二軒のラーメン屋が並んでいる。一軒は何の変哲もない普通の中華料理の店といった風情だが、もう一軒は大都市によくある・・・しかし記憶に殆ど残らない、派手なだけの店だった。どうして過去形かと言うと、さきほど帰宅するときに店がシャッターを降ろしていたからだ。定休日でもなさそうなのに、稼ぎ時の夕方に店を開けていないのは不自然である。そして帰宅して調べてみると、やはりこの支店の店舗営業を停止していた(ちなみに「閉店」と書くと営業時間が終了した意味なのか、それとも店を潰した意味なのか区別し辛い)。

僕は、いわゆる「中華そば」と呼ばれる平凡な醤油味のラーメンが好きだ。ラーメンだけを出す専門店ではなく、街中の中華料理の店で出すあれだ。なんとか大会で優勝したとか、店主がたれ作りに何年こだわったとか、そんなものはクソでしかない。ジャガイモの味がしっかりしているありふれたポテトチップスが結局はいちばん美味しいのに、やれ何とかコンソメだ、京風なんとかだと、半年後には販売終了して食べられなくなると分かっている刹那的な商品に手を出し続けるようなものである。ラーメンにしても、奇怪な麺の製法やダシの味付けでしか差別化できないと考えるのは、はっきり言えば専門学校すら出ていない素人の料理人に特有の愚かな発想でしかない。そして、そういうクソみたいな料理に群がるのが、味や栄養のなんたるかも分からないガキどもであり、何とか映えと称して写真をネットに公開するためだけにイナゴのように集まってくる連中である。もちろん広告代理店の仕事をして、そういうマーケティングの生体部品でしかない「消費者」と呼ばれる生き物の嗜好や行動を支配する側から見れば、そういう部品は「使い捨て」なのであって、二度と来店などしない。したがって、そういうラーメン屋はラーメンおたくが一巡したら、後は近隣の人間など寄り付きもしない、文字通り道端のクソみたいなものになって異臭を放ち続けるわけだ。ひととおり稼いだら、即座に撤退するのが正しい。実際、敢えて屋号は書かないが、その店舗にしても一定の集客期間が過ぎたからか、僕が見かけたときは既に客が店に入っているのを殆どみかけたことがなかったほどだった。それでも、店先には「Yahoo!最強の次世代らーめん日本一決定戦」がどうしたとかいうフレーズが虚しく書かれていて、いったいどんなラーメンを出す店なのかも外からでは分からないという風情だった。僕は、ラーメンに限った話ではないが、どういう商品を出すのか分からないような店に入るほど暇でも金持ちでもチャレンジャーでもない。

そして帰宅しながら、僕も会社で疑問を持ちながらも制作に携わっている一過性の広告・宣伝というものの功罪について考えざるを得なかった。しょせん、テレビで紹介されたなどという事実は一過性のキャンペーンと同等でしかなく、継続して人を引き込む価値のあるコンテンツや商品がなければ、人は何度も物を買ったり店へ足を運んではくれない。新書や経済誌に経営をテーマにした漫談のようなものを書いている連中は、「リピーター」などと軽々しく書いているが、元広告代理店の営業やコピーライターやディレクター、あるいは経営学教授やマーケティングのコンサルなどが、企業の商品のリピーターを著しく増やしたという実質的な成果を上げた事例は殆ど無いのだ。こういう連中は、たいてい巨大企業や上場企業といったナショナル・クライアントのサイトやロゴマークを使うという極端に有利な条件で仕事をしているため、何かを宣伝するにしても、簡単に言えば甲子園球場に人が6万人ほど集まったところで電光掲示板に広告を打つような気軽さで仕事をしているのである。たとえば、SONY やトヨタ自動車のサイト内にコンテンツを展開したり、Yahoo! Japan のトップページでリスティング広告を表示させたり、最初から何百万というビジターが訪れる場所で何かを宣伝すればいいだけなのだ。つまりはナショナル・クライアントのブランド力に乗っかって広告しているだけなのだから、どんな広告を打とうとも、認知度など新卒がディレクターをしようとも一定の業績が上がる。もっと言えば、たいていの大企業の広告・宣伝なんて、予測可能な範囲の成果を得るだけならバカでもできるのだ。ユニークアクセスが一日 100 万のサイトで PV を一日 200 万出すなどという成果は、それこそ大東亜何某レベルの大学のインターンどころか中学生でも有効な企画書が作れるだろう。

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