2018年05月28日に初出の投稿

Last modified: 2018-05-28

天満層のことがよくわからないので,山根さん [河本注:山根新次] に「天満層がよくわからなくて困っているんですが,オリジナルの定義は一体どういうものでしょうか」と手紙を出して聞いたんです.そしたら「ああいうものは戦災で全部資料がなくなった.若い人たちでもう一度研究をやり直して下さい」(笑)という返事をもらって,これはあかんなと思いました.それからしばらくして亡くなられました.山根さんは,やっぱり学者ですね.資料は全部なくなったからもう一度やり直せと言われるのですから.資料がなくなったと言われると,どうしょうもないです.それで私は,いまだに天満層がわからんのです.

大阪平野の発達史

このように言っていた市原実さんも既に亡くなっている。そういえば、市原さんと一緒に『大阪平野の発達史』という古典的な業績を残した梶山彦太郎さんという人物は十三郵便局の官吏だったとのことで、大阪らしいアマチュアリズムの一例だろう。こういう(古典的と言いうるまでの内容かどうかはともかく)業績を挙げてからアマチュアがどうの在野がどうの、あるいは「独立研究者」などという自意識トークをやればいいのだが、昨今は何の専門的な業績もない人々が理系コンプレックスの強い日本の読書家を狙って愚にもつかないエッセイを書いては、最年少の小林秀雄賞だとか言われて、逆にアマチュアの社会的な機能なり役割をマスコミに固定されてしまうという不愉快な状況を惹き起こしている。

何度も言うが、日本のマスメディアに勤務する人々の大半は、それこそ映像学やマーケティングやマスコミュニケーション論すら修めていないような学部卒の素人集団だ。取材対象どころか自分達の技能についてすらプロとしてのスキルや知識や経験を蓄えているのかどうかも怪しい連中が、「お茶の間感覚」による「体当たり取材」を繰り返してきたのが、明治以降の150年にわたる日本の報道・出版業界の実態と言うべきであろう。彼らが取材ロボットや記録ロボットや報道ロボットとして「実行」している情報伝達は、生きたロボットとして評価し、彼らの伝える情報を利用させてもらうのはいいが、それ以外は社会的弱者を扱ったり人権侵害を糾弾するドキュメンタリー番組だろうと、羽生さんや山中さんに先端技術(と称するもの)を語らせる NHK スペシャルを作ろうと、われわれアマチュアを越えるような知見をもたらす保証など何も無い。

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