2019年02月04日に初出の投稿

Last modified: 2019-02-04

ヤフーと三井物産が設立したダイナミックプラス(東京都千代田区)のシステムを活用。ソフトバンクは2018年にレギュラーシーズンで需給に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング」の仕組みを導入しているが、オープン戦から1シーズンを通しての実施は今回が初となる。

プロ野球のチケット価格、AIが設定 ソフトバンクのオープン戦で販売

さきほど、この話題を紹介していた NHK のニューズ番組では、最後に「暴騰を煽る可能性がある」と専門化が警告していたと述べていた。もちろん、公式発券元がチケットを事前に価格変動で売り出せば、それは紛れもないアナウンス効果となり、ダフ屋に価格設定のお墨付きを与えるも同然であろう。いや、これは実質的に公式発券元がダフ屋になったのと同じではないのか。

しかし、いまどき商社や Yahoo! Japan なんて会社に向かって「観客は人間だぞ」などと息巻いたところで無意味である。この連中は何年も前の創業当時から、客なんて自分たちのビジネスモデルを動かす「燃料」くらいにしか思っていないし、それゆえ血も涙もない冷静な判断ができるのも事実であり、こういうところの出身者が経営コンサルや経済分析で他社に転職したり物書きになるのも既定どおりの筋書きというものである。つまり、この手の会社はチャンスがあればこういうことをいつでもやる用意があるのであって、いまや AI だのビッグデータだのという後ろ盾によって、ようやくやりたいことができるようになって実行しているのだと考えるべきである。これが、理論とか学術的な立場とは違うにしても、多くの個人や集団にあって物事の理解や判断へ陰に陽に影響を及ぼす思想の(この場合は胡散臭い)力というものである。

しかしこのような価格設定が導入されると、当然だが何週間も前にチケットを(恐らくは予測とは関係のない価格設定で)買っている予約購入者だとか年間パスのようなものの購入者からは、自分たちが実質的に得なのか損なのか分からないという不安が生まれるだろう。したがって、いまのところは一部のチケットだけを変動制にしている事例が多いようだが、このような手法が長期的にどのような効果をもたらすのかという点について、恐らく目先の予測だけを出力する「シリコン製のダフ屋」を開発しているインチキ技術者どもは、そういうビジネスの事業継続という観点などまるで考慮していないと思う。

それから、恐らく将来は観客に対しても、チケットの発券価格を予想するサービスが出てくるだろう。チケットの販売や購入というものはチケットを使う日程が決まっているから、このような発売者と購入者とのあいだで一定の価格に収斂するのかもしれないが、発売者から提示される価格が高騰すれば、予約システムの利用をやめたり、当日に観戦しようとしていた人々が違う行動を選ぶ可能性もあろう。なんとなれば、我々は他にも色々なホビーや娯楽に囲まれており、我々は或る一つの娯楽に費やす金銭について、単純に変動価格と定価だけを比較しているわけではないからだ。サッカーのチケットがあまりにも高くなれば、多くの人はテレビ観戦で済ませるようになるだろうし、それが合理的な行動というものである。

つまり、商社やプライバシーブローカーていどの連中が開発する AI なんてものは、機会費用として比較できる他の様々な状況を考慮できていない恐れがあり、他の選択肢や、それを促す AI に簡単に負けるのではないか。そして、バズワードやていどの低い技術で飯を食ってるような連中というものは顧客企業の事業継続など屁でもないわけで、短期的に自社の株価を維持するネタとして AI だのビッグデータだのというタワゴトを振り回してパブリシティを獲得できていれば、それでよいのである。そもそも商社の人間にとっては、サッカーや野球などという暇つぶしが衰退しようと、そういうサービスを導入した数年間の売り上げさえ出て自社の株価が維持できていればいいのであり、こういうサービスを社会科学の知見が全くないパソコン屋とか情報ブローカーどもに委ねるのは危険である。

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