『幻獣ムベンベを追え』(高野秀行/著, 集英社, 2003)
2005年08月16日 19:52
引き続き、高野秀行さんの著書を読了。面白い。
いま、更に引き続いて『巨流アマゾンを遡れ』も後半を読んでいるのですが、椎名誠さんの本を読んでいても感じる、計算のなさというかブンガクしていないところが気楽に読めていいです。また、読んでいるとへんなところに気づいたりする。例えば、『巨流アマゾンを遡れ』を読んでいて、ワニの肉を食べた感想のところで「あれ? この表現はどこかで読んだぞ」と思ったら、『幻獣ムベンベを追え』にも似たようなくだりがありました。
肉はうまいの一言に尽きた。見た目も最初口に入れたときの印象も間違いなく白身魚のそれなのだが、かむごとに歯ごたえを感じ、飲み込むときには、鶏肉のささみそっくりの味になっているのだ。さすがは爬虫類である。
『幻獣ムベンベを追え』, p.182.
ジョアキンは喜び、さっそく手際よくさばく。これは昼飯になったが、うまかった。白身のあっさりした肉で、口に入れたときは魚のようだが、よくかんで飲み込む段になると鶏肉の味になっているという不思議な肉で、さすが爬虫類というしかない。
『巨流アマゾンを遡れ』, p.110.
といった感じです。同じ人が同じものを食っているのだから、当たり前と言えば当たり前なのですが、ここまで言われるとワニの肉も食べてみたいと思わせるものがあります。
さて『幻獣ムベンベを追え』の内容ですが、この生物をとりまく伝説や目撃談や調査によって分かった事実を、高野さんは最後に並べてみて、はっきりとした結論はありませんが、それとなく幻獣ムベンベについて何かをおぼろげにつかんだような、つかみ切れていないような、そんな暗示の仕方で話を終えています。他のサイトでも書かれているように、現地の人はこの生物を「おらっちにもよくわからんが、そこ(湖)で見たドーブツ」という程度の意味にしかとらえておらず、各人がいろんなものを同じ言葉で表現するので、それを勝手に「一個の生物」としてまとめてしまったことから怪獣騒ぎになったのかもしれません。夢もロマンもありゃしないが、高野さんの文章からは、どちらかというとそこで暮らしている人たちの方をオモロがっている気がするので、ああいう面白い文章になるのではないかなぁ。怪獣探ししか能がなかったら、たぶんもっとつまらん文章になっていたと思います。
